3大会連続で伊勢路を決めた環太平洋大学 責任感が芽生えた「10グループ分け」練習
第55回全日本大学駅伝対校選手権大会 中国四国地区選考会
9月23日@キリンレモンスタジアム陸上競技場(山口)
1位 環太平洋大学 4時間17分22秒
----------ここまで本戦出場----------
2位 広島経済大学 4時間19分01秒
3位 岡山大学 4時間19分45秒
4位 広島大学 4時間29分38秒
5位 至誠館大学 4時間32分59秒
6位 広島修道大学 4時間47分29秒
7位 高知大学 5時間0分13秒
愛媛大学は棄権
全日本大学駅伝の中国四国地区選考会は環太平洋大学が制し、3大会連続4回目となる本戦出場を決めた。過去3度の伊勢路ではいずれも22位。関西勢の争いに食い込み、中国四国地区の枠を増やすことをめざす。
起伏のあるコースから、トラック周回に変更
中国四国地区選考会は、今年からレースの形式が変更された。従来は、コースに起伏がある道後山高原クロカンパーク(広島県庄原市)を会場としてきたが、今年はキリンレモンスタジアム陸上競技場(山口県防府市)に移り、トラックでの周回コースに。それに伴い、一斉スタートを改め、3組に分かれてのレースとなった。
9月23日、蒸し暑さが残る中で行われた選考会には7校が参加。最大13選手が10000mを走り、上位8人の合計タイムを競った。
環太平洋大学は2位の広島経済大学に1分39秒差をつけ、3大会連続4回目となる伊勢路への切符を手にした。吉岡利貢・駅伝監督は「トラックでの選考会に変わって、明確なタイムの目標が立てやすくなった。その目標に向けてハイレベルな練習ができた」と振り返る。
選考会は、第1組で広島経済大が上位3人を占めて先行したものの、第2組を終えた時点で環太平洋大が合計タイムでトップに。最終第3組では、谷末智哉(2年、報徳学園)が全体1位の記録をマークするなど、安定したレース運びで勝利をつかんだ。
吉岡監督は「4年生を中心としたチーム作りができつつある。上級生が下級生を引っ張ってくれている」と手応えを口にする。
監督不在の期間、選手が練習メニューを組み立て
新チームが始動したときから取り組んできたのが、意識改革だ。
環太平洋大は近年、部員数が着実に増加。中長距離ブロックだけで男女合わせて約120人に上る。吉岡監督は「私一人だけでまとめるには難しい規模になった」と話す。
今季からメンバーを10グループに分け、各グループのリーダーを中心に目標設定をして練習に取り組んだ。それまでは選手の自主性に任せていた時期もあったが、組織が大きくなったことで、目の行き届かない部分も出てきていたという。山崎大空・駅伝主将(4年、広島皆実)はグループ分けのメリットを「一人ひとりの責任感が芽生えて、『自分が引っ張っていかなきゃ』という気持ちにつながった」と話す。
また今シーズンは、吉岡監督が国際大会に帯同するため1カ月近くにわたってチームを離れた。今までに経験したことのない状況になったことで、選手たちが主体となって練習メニューを組み立てていったという。
環太平洋大は出場した過去3度の全日本大学駅伝で、いずれも22位に終わった。「関東勢や関西勢と勝負できるようにしたい。今まで失敗を繰り返してきた中で、選手たちとは『こういうことが必要だね』とすり合わせをしてきた」と吉岡監督。ロードでの練習を増やしたことを始め、ハーフマラソンや3000m障害のレースに挑ませるなどしてきた。山崎主将は「今年は圧倒的に練習量が増えた。長い距離に対する耐性は、レベルアップしていると思う」と胸を張る。
大学から本格的に始めた谷末と4年生陣に期待
経験の豊富さもチームの強みの一つだ。前回の伊勢路を走ったメンバー7人が残る。
昨春の入学時から本格的に陸上を始めた谷末は、1区で区間19番だった。さらなる飛躍を期した今シーズンだったが、右足を負傷した影響で本格的な練習に復帰したのは7月から。それでも2年続けて中国四国地区選考会で全体1位の走りを見せた。
「けがをしていた期間はとても苦しかった。全日本へ出ることに懸けていたので、自分ができる最高のパフォーマンスを出したい」と意気込む。
また吉岡監督は、4年生たちの力走に期待している。
10000mで29分台のタイムを持つ脇健斗(4年、尽誠学園)や選考会で全体2位に入った林本涼(4年、鳥取城北)、大学から長距離に転じた中川大智(4年、南宇和)らが意地を見せられるか。
山崎主将が掲げる目標は明確だ。「関西勢に勝って、中国四国の出場枠を増やす」。チームの新たな歴史を刻むためにも、着実に襷(たすき)をつなぎたい。