陸上・駅伝

特集:第53回全日本大学駅伝

2年ぶりの伊勢路に挑む環太平洋大学、岡山から初出場を上回る20位以内を目指す

IPU(INTERNATIONAL PACIFIC UNIVERSITY)と入る青いユニホームの環太平洋大学(撮影・辻健治)

環太平洋大学が2年ぶりに伊勢路に戻ってきた。第51回全日本大学駅伝対校選手権大会に初出場し、岡山勢として第23回大会(1991年)の岡山理科大学に続いて2校目の出場となったが、前回の22位から一つでも上の順位を目指す。

地区選考会で雪辱、総合力みせた

5校が参加した9月の中国四国地区選考会(10kmを走り、エントリー11~13選手中、上位8選手の合計タイム)では、2位の広島大学には4分25秒差、昨年代表の3位広島経済大学に5分35秒差をつけて勝ち抜いた。13人が出走し、主将の杉原健吾(3年、開星)が全体1位の30分23秒。「余裕があり、自分のリズムで刻めた」。脇健斗(2年、尽誠学園)が3位、林本涼(2年、鳥取城北)が7位、勝部遼(1年、明誠)が8位、土倉稜貴(4年、水島工)が9位と5人が10位以内に入り、総合力を見せつけた。吉岡利貢駅伝監督(43)は「勝つことができたのが重要で、全日本に向けてまだまだ成長できる」と話していた。

中国四国地区選考会を全体1位で走った杉原健吾主将(3、撮影・辻健治)

今年のメンバーには突出した存在はいない。5000mで14分台をマークしている杉原や小山太一(4年、新田)を始め、下級生では脇や笹木恵斗(1年、広島国際学院)らが引っ張る。土倉は弟の光貴(2年、水島工)と兄弟で本番までに復調できれば、さらに期待は膨らむ。また、選考会には出場しなかったが、6月の日本学生個人選手権1500mで6位入賞した片山直人(3年、広島皆実)も力は持っている。

環太平洋大の陸上競技部は開学した2007年に創部された。中長距離の本格的な強化に乗り出したのは、有力選手が加わった14年からだ。19年の初出場で、吉岡監督は「当時はまだメンバーがギリギリそろう状況だった。それでも初出場したことで入部してくる選手のレベルが高くなり、戦力は上がってきた」と言う。

「去年の4年生の分まで」チーム力で巻き返し

吉岡監督は「今年のチームは『どん底』まで落ちて、はい上がってきた」と振り返る。昨年は新型コロナウイルス感染拡大の影響で、出場が決まっていた出雲駅伝が中止に。目標を失った選手たちのモチベーションが低下し、練習の成果を得られない時期が続いたという。さらに全日本大学駅伝の中国四国地区選考会では広島経済大に大差で敗れ、12月の中四国学生駅伝では区間賞を一つも獲得できなかった。

挫折を味わったチームが掲げた新たな目標は「圧勝での返り咲き」。坂道でのトレーニングを重視して週2回に増やしたほか、ロード対策としてアップダウンの多いコースを使った走り込みにも取り組んできた。

今回の選考会で全体1位となった杉原は、種目を10000mに絞り、この夏は実業団の合宿に参加した。「距離に対応できていないのと体が全然絞れていなくて、実業団との差を感じた部分を課題にした」という。高いレベルを経験して思い知った危機感を糧に、昨夏と比べて走る距離を100km以上増やしてきたという。「チームとしては去年の4年生の分まで走りたい。2年前は6区のサポート役だった。メンバーに入れず悔しい思いをしたので個人的にもリベンジを果たしたい」と意気込む。

環太平洋大の杉原主将(中央)と吉岡監督(左)に長谷工グループから「たなかみ米」などが贈られた(撮影・中村建太)

今大会の目標は、前回出場を上回る20位だ。関東勢との差はまだ大きく、複数の代表校を送り込む東海勢や関西勢に対し、また、岡山理科大が残した19位にどれだけ迫れるかが焦点となる。

吉岡監督は「ただ経験を積むだけではなく、自信になる結果を残す大会にしたい」と今後の強化への影響も見据えている。環太平洋大というチームがさらなる発展を遂げるためにも、2度目の伊勢路は自分たちの実力を出し切れるかどうかが試される。

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