阪神ドラ1、青学大・下村が見せた引き出し 「空振り取れなくても」
(18日、明治神宮野球大会準々決勝、青学大8―4日本文理大)
調子が悪くても、決して試合は壊さない。
阪神からドラフト1位指名を受けた青学大の右腕、下村海翔(かいと)(4年、九州国際大付)が引き出しの豊富さを見せ、七回途中2失点と粘った。
肌寒い気候で、速球が走っていなかった。
最速155キロを誇るが、この日は140キロ前後。そこで、変化球を中心に組み立てた。
顕著だったのは2点差の六回。2死一、三塁のピンチを迎えた場面だ。
相手打者が速球に合っているとみるや、得意球のカットボール、秋季リーグ戦後に磨いてきたフォークを使い、2球で追い込む。
そこからも勝負を急がず、力で押そうとはしない。
全6球を変化球で攻め、フォークで遊邪飛にとった。
「空振りが取れなくても体勢を崩せた。調子が悪いなりに良い投球ができた」
7月の日米大学野球。並みいる剛腕を抑え、日本代表の開幕投手を務めたのが下村だった。計3試合で1失点の好投を見せ、MVPに輝いた。
「失点が計算しやすい投手」とは安藤寧則監督。安定感があるから、難しい初戦に送り出された。
身長は174センチ。「プロで活躍して、同じくらいの身長の選手に『できるんだぞ』っていう姿を見せたい」と語る。
まずは、大学最後の大会でフル回転だ。
(安藤仙一朗)=朝日新聞デジタル2023年11月18日掲載