最後まで走り切った伝統の紺ユニ 能代工から変更後の初勝利はならず
(能代科学技術●72―87○土浦日大 全国高校バスケ ウインターカップ 男子1回戦 23日)
全国高校選手権で歴代最多20度の優勝を誇る能代工から校名が変わって3度目の出場。秋田の能代科学技術はまたしても「初白星」を逃した。
高さに分がある土浦日大(茨城)に対し、5人が連係して守った。シュートのこぼれ球に素早く反応し、前半は互角に渡り合った。
後半は終始追いかける展開。一時は11点リードされながらも、中野の速攻や伊藤の連続3点シュートが決まり、第4クオーター残り約5分で1点差まで詰め寄った。伝統の紺のユニホームを着た選手たちは相手ゴール近くからの積極的な守備を続け、最後まで走り切った。
3年生は能代科学技術の生徒として3年間過ごした最初の世代。主将としてチームを引っ張ってきた中野に涙はなかった。「先輩たちの分まで勝ちたい気持ちもあった。勝てなかったのはやっぱり悔しい。でも3年生13人で楽しくバスケができたことは良い思い出になった。高校生活は楽しかったです」。最後の最後まで、すがすがしかった。
■能代科学技術 中野珠斗(しゅうと)主将
「自分たちは去年までの先輩とは違って、能代科学技術高校に入学してきた代なので、その中でもやっぱり『能代科技(かぎ)』らしさって言うんですか、先輩後輩が仲良く、ルールも、上下関係もあんまりないっていう感じで。誰もが楽しくバスケしやすくて、過ごしやすい環境作りをしようってところから始まって。自分たちが1年生の頃は、全然バスケもしたくないし、練習にも行きたくないっていう環境だったんで。その環境をなくしていった結果、今年のウインターカップは負けてしまったんですけど、それ以外の面では良い結果につながったのかなと思います」
「試合に出られなかった人たちには、謝りたい部分もありますけど、ありがとうというのも伝えたい。3年生は13人なんですけど、13人が全員ここまでやってきたからこそ、今のチームがあると思う。そこの部分では、チームをたたえたいと思います。自分たちは統合後の初勝利を託されたんですけど、それができなかったのが悔しい。先輩たちにも謝りたい気持ちがたくさんある。自分の下の後輩には、初勝利をしてもらいたいですし、そのために自分も練習に加わって尽くせることを考えたいと思います」
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■能代科学技術 小松元・監督
「うちらがやりたいことを貫いて、やろうとしたんですけど、予想以上に(相手の)サイズもあったし、やっぱり最後はシュート(の精度が)が狂ったんで、しんどかったですね。でも、よくやりました。前半はリバウンドの数で、うちは勝ったじゃないですかね? 後半はうまくやられた感じでした。リバウンドの技術というか、サイズだけではない、百戦錬磨の選手たちにやられた感じがあるので。そこは私としても、作戦の立てようがないというか、ちょっと難しい時間がありました、後半は。前半ぐらいシュートが入らないと勝てないんですよ。(3点シュートを何度も決めた)伊藤(賑一)の爆発力というか、いろんなことを器用にできるので、やりすぎに見えるかもしんないけど、あれでいいんですよ。あれでいいんです。今年は(能代科学技術として)3年目なので、いろんな思いがありながら、それに生徒が乗っかってきてくれたので。まず勝ちたかったですね、ほんとに悔しいですよ。もしかしたらね、秋田県外とかに行く可能性があった子もいるかもしれませんけど、ちゃんと秋田に残って、いろんな魂を持ってやれば、頑張れるんですよ。田舎をなめてもらったら困ると、そう言いたいです」
(松本龍三郎)=朝日新聞デジタル2023年12月23日掲載