陸上・駅伝

特集:第56回全日本大学駅伝

皇学館大、力走17位 来年の東海代表枠は2校に増 全日本大学駅伝

第6中継所で襷の受け渡しをする皇學館大学の曽越大成(右)と芝辻晴裕(撮影・小林裕子)

 第56回全日本大学駅伝対校選手権大会が3日行われ、東海地区代表で2大会ぶり7回目の出場をした皇学館大(三重県伊勢市)は、17位に入った。沿道からの大きな声援を受け、名古屋市の熱田神宮から伊勢市の伊勢神宮までの8区間106・8キロを力走した。前年の成績に応じて地区代表の出場枠が決まるため、来年は東海地区の出場枠が増え、2校出場できる。

皇學館大・寺田夏生監督(上)仲良しの先輩とアツい前田康弘監督に導かれ、國學院大へ

 皇学館大は1区22位と苦しい出だしだったが、2~4区と徐々に順位を上げた。3区は2年の新間圭選手(静岡・天竜高)、4区は3年の田中靖晃選手(四日市農芸高)が快走し、19位に。4年生中心のチームに、2人の下級生が勢いを与えた。

 4区は田中選手の地元で、本人も希望した区間だった。「応援がすごくて、気持ちが盛り上がった」。前を走る関西大を目標にし、「最終的に抜けたので、自分ではいい走りができたと思う」と話した。

 8区を走るアンカーを任されたのは、寺田夏生監督が最も信頼する岩島昇汰選手(4年、岐阜・益田清風高)。

 岩島選手は、ひょうひょうとした口調で「ちょっと無理するぐらいのペースで、行けるところまで行こうと思った」と振り返る。昼ごろには気温が22度を超えたが、しっかり給水して「冷静に対応できた」。一気に順位を20位から17位まで上げ、歓喜する仲間にゴールで迎えられた。

 同大のこれまでの最高位は2020、21年大会の17位で、今回は最高位タイだ。

 2区を走った毛利昂太主将(4年、兵庫・神港学園高)は「大学史上最高を目指してやってきて、タイながら達成できた。下級生が勢いをつけて、4年生が実力を見せて勝ち取れた結果」と喜んだ。

 寺田監督は「まずは選手たちにお疲れさまといいたい。学生たち主体で目標を立てて頑張ってくれた。特に岩島選手は期待を超えた。中心となった4年生がいなくなるので、来年に向けて気を引き締めていきたい」と次を見据える。2年生の新間選手は「来年は後半の距離の長い区間を走れるように頑張りたい」、3年生の田中選手も「この1年でしっかり走り込んで、チーム全体を底上げしたい」と応えた。

■東海学連も快走 「来年は単独出場を」

 オープン参加の東海学連選抜は、8区でくり上げスタートになったものの、全体の19番目にあたるタイムでレースを終えた。来年は東海地区の出場枠が2校に増え、各選手は「次は大学単独での出場をめざす」と意気込んでいた。

 岐阜協立大からはいずれも岐阜県内の高校出身の3選手が出場した。2区を走った中嶋希(のぞむ)選手(2年)は「前を走る選手に追いつこうと気持ちが入った」と、4人を抜いた。5区の日比健仁選手(2年)は「3人とも持ち味を出せた。来年につながるはずだ」。

 1年生の時に岐阜協立大として単独チームで出場した3区の天野佑哉選手(4年)は「大学の集大成としてのレースができた。来年は2枠うんぬんより、皇学館に勝って東海1位をとれと後輩には伝えたい」と話した。

 昨年は単独出場だった名古屋大の河崎憲祐主将(M1年)は、6区で区間13位の好走を見せた。「他校の選手とLINEで励まし合い、東海のレベルが上がっていると感じた」

 8区のアンカーを務めた中京大の木山敬士郎選手(3年)は「(くり上げにならず)7区までたすきをつないでこられたのは、各選手の自信になったはずだ。自分も攻める気持ちを切らさずに走れた」と来年を見据えた。

■「最後まで」 沿道でファン声援

 沿道には多くの駅伝ファンが詰めかけ、懸命に走る選手たちを励ました。

 津市藤方の第6中継所。「日体大」ののぼりを持った県保護者会の宮村喜三さん(56)=亀山市=らが駆けつけた。「3大会ぶりに出場にこぎつけたので、盛り上げようと来ました」。卒業生の松本紘和さん(25)=津市=は「シード権を取って来年も出られるようになってくれたら」。

 隣で「中央大学」ののぼりを手に、応援したのは父母連絡会県支部の高山国士さん(56)=津市。「選手全員が最後まで無事故で走り切ってほしい」と願っていた。

 毎年、家族で来ている川守裕子さん(54)=津市=は「選手全員が第6中継所に到着するまで見守ります。たすきをつなごうとする姿に感動する」と話していた。

=朝日新聞デジタル2024年11月03日掲載

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