東洋・相澤「すごく悔しい」全日本の区間賞
「優勝を目指しての3位だったので、すごく悔しい」。11月4日の全日本大学駅伝の閉会式後、東洋大のアンカーを走った相澤晃(3年、学法石川)は悔しさをにじませながらそう語った。12秒差で青学大に敗れた出雲駅伝。東洋大はその悔しさと1秒の重みを胸に、全日本こそ優勝をと、目標に掲げていた。しかし、吉川洋次(2年、那須拓陽)ら主力の故障でベストメンバーを組めず、前半から流れに乗れなかった。
青学の橋詰に負けたリベンジを
2区を終えて、トップに1分9秒差の14位。3区の今西駿介(3年、小林)や5区の小笹椋(4年、埼玉栄)らが怒とうの追い上げを見せるも3位でフィニッシュ。8区を務めた相澤は最後まで諦めることなく、2位の東海大との間に1分9秒あった差を26秒まで詰める力走を見せた。「出雲駅伝では青学に12秒差で負けたので、自分がアンカー走って優勝したいなと思った」。最長区間である8区での相澤起用は、自らの希望によるものだった。
出雲駅伝では1区を走ったが、青学の橋詰大慧(4年、和歌山北)に敗れ区間2位。全日本でのリベンジを誓った相澤は、3位で襷(たすき)を受け取った。先頭を走る青学との差は3分7秒だった。長い距離を得意とする相澤にとって、19.7kmでの勝負は決して逆転不可能な差ではなかった。
相澤はレースプラン通り、最初の5kmを14分13秒というハイペースで入った。長い手足と大きなストライドを武器に、徐々に前との差を縮めた。なかなか視界に捉えることのできなかった2位を走る東海大の湯澤舜(4年、東海大附三)の姿が、ついに見えてきた。このまま2位に追いつくか。全国の駅伝ファンが、固唾を飲んで両選手の走りを見守った。しかし、対する湯澤もハーフマラソンを得意とする選手。簡単に相澤の逆転を許してはくれなかった。最後の力を振り絞っての懸命な走りを見せたが、東海大に26秒及ばず3位でフィニッシュとなった。
悔しさの残る順位となったが、東海大を脅かす走りは見せた。フィニッシュ後、地面に倒れ込む相澤をチームメイトが支えた。全力を尽くし、最後まで走り切ったがゆえの姿であった。また、相澤は2年連続で区間賞を獲得。1位でゴールした青学の梶谷瑠哉(りゅうや、4年、白鷗大足利)より21秒速いタイムで、箱根駅伝を前に東洋大の意地を示した。
相澤も「2年連続区間賞をとれたことはうれしい。主力として区間賞を獲ることは最低限の走りだと思っていたので」と収穫を口にした。しかし、その顔に笑みはなかった。後半に思うような走りができなかったことへの悔い、そしてかなわなかった全日本優勝の夢。相澤の思いの強さがうかがい知れた。「箱根では往路優勝をしたけど復路で負けて、総合2位という悔しい思いをした。次回はしっかり自分も区間賞をとって、チームの総合優勝に貢献できる走りをしたい」。箱根への決意を語る相澤の目は、しっかりと前を見つめていた。