陸上・駅伝

特集:第50回全日本大学駅伝

橋詰大慧 賢く走れる青学3冠のキーマン

出雲駅伝1区で区間賞。優勝への流れをつくった橋詰 (撮影・松嵜未来)

10月8日、青学大は学生駅伝3冠を目指せる唯一の大学となった。学生三大駅伝の幕開けとなった出雲駅伝で1区から最終6区までトップを譲らない完全優勝。一瞬たりとも隙を見せず、まずはひとつ目の冠を手にした。

3年で駅伝デビュー

その出雲駅伝で1区(8km)の区間賞をとり、チームの流れを作り上げたのが橋詰大慧(たいせい、4年、和歌山北)だ。序盤は集団の後方につけて様子をうかがっていたものの、ラスト1kmで一気にギアを上げ、後続を突き放す展開にした。振り返ってみると、先頭に立つタイミングといい、ペース配分といい、すべてが完璧だった。2位の東洋大のエース相澤晃(3年、学法石川)に6秒差をつけた。

そんな橋詰がチーム内で頭角を現し始めたのは3年生のとき。春先の金栗記念中長距離選手権で5000mの自己ベストを更新、5月の関東インカレでは10000mで入賞を果たすなど、レースに出場するたびに好記録を叩き出した。夏を越えて駅伝シーズンに突入すると、選手層の厚い青学で出雲駅伝のエントリーメンバーに入るまでに成長。橋詰は初めての三大駅伝で出雲路を駆け抜けた。最終6区を任され、2位でゴール。区間6位だった。追いつけなかった東海大の背中を見つめ、悔しさをにじませた。その後はけがが続き、全日本と箱根は走れなかった。

大学ラストイヤーとなった今年、橋詰の名を一気に広める出来事があった。7月のホクレン・ディスタンスチャレンジだ。5000mで留学生に食らいつき、13分37秒75でゴール。今シーズン学生で2位という、すさまじい好記録を刻んだ。青学大の学内記録も更新し、「今年も青学強し」を強烈にアピールした。

大学ラストイヤーはトラックでも結果を残した

冷静に、力強く

力強い走りからは想像しにくいが、取材に応じるときの橋詰は常に落ち着いている印象だ。関西出身だが、口数もそれほど多くない。そんな日常がレース中の冷静さにつながっているのではないだろうか。気合の入ったレースでも最初から飛ばしすぎることなく、集団の動向を観察する。そして、絶妙なタイミングでペースを上げ、あっという間に先頭に立つのだ。ただがむしゃらに走るのではなく、頭を使って走れる。これも橋詰の強さの一つと言えよう。

次に狙うは全日本大学駅伝の冠だ。昨年は3位と届かなかった栄冠だ。さらに強くなった青学の選手らがチーム一丸となって伊勢路に挑む。橋詰がチームのキーマンになってくるのは間違いない。勢いにあふれた彼の走りがチームを2冠目に導いてくれるのを期待したい。

落ち着き払って語る橋詰

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