関学、関大と70年ぶりに引き分け
熾烈な戦いだった。関学は関大19-19で引き分け、開幕からの連勝は5で止まった。2011年から勝ち続けていた関大との引き分けは、70年ぶり2度目の出来事だった。主将のQB光藤航哉(みつどう、4年、同志社国際)は「負けに近い引き分けでした」。厳しい表情で語った。
残り5秒、起死回生のTDパス
関大の気迫にのまれた。前節で立命に負け、この日も負ければ甲子園ボウルへの道が途絶える関大に先制を許した。最初の攻撃シリーズでラン、パスを交えてゲインされ、フィールドゴール(FG)で3点を許す。第2クオーター(Q)開始直後にはパスキャッチのあとに走られ、タッチダウン(TD)された。トライフォーポイント(TFP)のキックは外れ、0-9。関学はすぐにQB奥野耕世(2年、関西学院)がWR小田快人(4年、近江)へのロングパスを決めてTD。しかし、ミスでTFPのキックは蹴れず、6-9。関大にFGを決められ、6-12で試合を折り返した。
攻めきれない関学。それでもキッカー安藤亘祐(3年、関西学院)の2FGで、第4Q序盤に追いついた。5分すぎに関学ディフェンスの反則も絡んでTDを許す。12-19。残り時間も少なくなり、2010年のプレーオフ以来の敗戦もちらつき始めた。
試合終了まで残り2分2秒。関学は後半からサイドラインに控えていたQB奥野を再び投入した。ノーハドルでダウン更新を続ける。残り11秒。ゴール前12ydからWR阿部拓朗(3年、池田)へ起死回生のTDパス。時計は残り5秒を示していた。TFPはキックを選択し、関学は土壇場で追いついた。
小学1年でフットボールを始めたQB奥野だが、試合残り2分から追いかける「ツーミニッツオフェンス」は初めての経験だった。ここで7回投げて全部決めた。負けなかった意味は大きい。試合後、鳥内監督は「こういう試合やから、4Q勝負と思ってた」。最後のTD後にツーポイントで勝ちにいかなかったことについては「今後を考えたら、引き分けの方がリスクは少ない」と話した。
次のリーグ最終戦は6戦全勝の立命とぶつかる。勝てば6勝1分で逆転優勝だ。負ければ、関大と2位で並ぶ可能性がある。その場合は両校主将による抽選で、甲子園ボウルの西日本代表決定4回戦へ進む1校を決める。生死を分ける一戦になる。光藤は「負けてたらチャンスはなかった。ラストチャンスは勝つだけです」と言いきった。昨シーズンは関西制覇を逃したが、2週間後に立命にリベンジして甲子園ボウル出場を決めた。あの2週間を超える取り組みが、いま求められる。