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アメフト アニマルリッツ復活のキーマン

立命の糸井は流れを変えるプレーをくり返した(撮影・廣田光昭)

関西学生リーグ1部第5節

10月20日@宝が池球技場
立命館大(5勝) 28-10 関大(4勝1敗)

第5節で注目された4戦全勝対決は立命の快勝だった。オフェンスの獲得距離では立命の296ydに対し、関大は279ydとほぼ互角。先取点も奪われた立命だったが、関大から三つのインターセプトを奪ったのが大きかった。DL(ディフェンスライン)とブリッツで入ってくるLB(ラインバッカー)が関大のQB(クオーターバック)入佐一輝(4年、関西大倉)に序盤から襲いかかり、彼に「早く投げないとやられる」という心理を生じさせた。これが3インターセプトにつながった。

4回生にして初めてつかんだ大舞台

この日、立命ディフェンスで最高の輝きを放ったのはDL#41糸井丈(4年、龍谷大平安)だ。後半に二つのQBサックと、インターセプトリターンタッチダウン。「大事な試合で流れを変えるプレーができてよかったです」。4回生にして初めてつかんだ大舞台でのチャンスを生かし、糸井が笑った。

立命は14-3とリードして迎えた後半、最初のオフェンスでQB荒木優也(3年、立命館守山)が四つのパスを続けて通し、相手ゴール前へ。RB立川玄明(たつかわ・ひろあき、2年、大阪産大付)がこの日三つ目のタッチダウンを決めた。21-3になった直後の関大オフェンスで、入佐がコントロールミスしたパスを糸井が奪い、22yd先のエンドゾーンへ駆け込んだ。「捕ったら前にはQBしかいなくて、『タッチダウンや』と思いました。リターンタッチダウンは高校のときもやったことなかったです」。糸井が興奮気味に振り返る。28-3となり、試合の行方はほぼ決まった。

QB入佐一輝(4年、関西大倉)がコントロールミスしたパスを糸井が奪い、22yd先のエンドゾーンへ駆け込んだ

糸井は昨年までDB(ディフェンスバック)だったが、新チームになって最前列のDLと第2列のLBを兼ねる、立命で「エース」と呼ばれるポジションになった。最も期待されているのはスピードだ。パスが想定されるシチュエーションでDLに投入され、相手QBに投げさせまいと向かっていく。邪魔をしにくるOL(オフェンスライン)やRB(ランニングバック)をいかに短い時間で処理するかが勝負になってくる。前節の龍谷大戦で今シーズン初のQBサックを決め、この日も2度、パスに出たQBをタックルにしとめた。自分をプロテクションしてくる相手かわしてからQBへと向かうときの、本能的な加速が魅力だ。

先輩たちの後悔から決意

昨年はリーグ最終戦で関西学院大に勝ちながら、西日本代表決定戦では関学にリベンジされ、甲子園ボウル出場はならなかった。糸井は4回生の先輩たちが後悔を口にするのを聞いて、「自分らは最初の関学戦までに絶対に全部やりきって臨む」と決意したのだという。

糸井が担う「エース」というポジションには、もとは別のポジションだった選手ばかり。糸井は一体感を出したくて、試合ではおそろいの赤いスパイクを履くことに決めた。「まずは次の京大です。京大に勝つことだけ考えます」。糸井が前を向いて言った。

この日も2度、パスに出たQBをタックルにしとめた

立命が強いシーズンは、ディフェンス陣が大暴れして「アニマルリッツ」と呼ばれてきた。赤いスパイクの男たちが、「アニマル」復活のキーマンだ。(文・篠原大輔、写真・篠原、廣田光昭)

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