サッカー けがを経て成長した早大守備の柱
DF三浦紗津紀(4年、浦和レッズレディースユース)がピッチにいると、誰もが強い安心感を抱く。守備ではいち早くピンチを察知し、体を張って相手の攻撃の芽を摘む。そして攻撃でも、コーナーキックになると得意のヘディングでゴールネットを揺らす。そんな三浦は、1年のときからコンスタントにスタメン出場を続ける、チームに必要不可欠な存在だ。
初の欠場、新たな発見
全国屈指の強豪である早稲田のア式蹴球部女子(ア女)には、全国から精鋭たちが集う。その中で1年からレギュラーを張り続けるのは並大抵のことではない。2年ではインカレMVPを獲得、3年ではユニバーシアード日本代表に選出され、大きく飛躍してきた。三浦について、チームメイトたちは「いてくれるだけで安心する」「サッカーについてよく知ってる」「最後の砦」と絶賛する。
しかし、必ずしもが順風満帆なサッカー人生ではなかった。三浦は1年に膝にけがを負って以降はけがなしでやってきたものの、最終学年で迎えたリーグ戦の開幕直前に右足首の靭帯を断裂。ア女生活の中で、初めて試合に出られなくなった。皇后杯予選も控える中で、つらい日々が続いた。
試合に出場し、結果を残すことでチームに貢献してきた三浦にとっては、試合に出ずに、どのようにチームに貢献できるのか悩んだ。主務の高野佑美(4年、東京学芸大付国際中教校)に励ましてもらう日々。しかし、外からチームを見てみると、自分と遜色なくプレーできるア女の仲間がいることに気づいた。三浦は下級生のときから主力だったため、「自分が守備を引っ張っていく」という思いが人一倍強かった。けがをきっかけにして、仲間の強さに気づけた。
サッカーができる喜び
10月28日。ライバル慶大との一戦が三浦の復帰戦となった。DF源関清花(3年、ちふれASエルフェン埼玉)の負傷による途中出場だったが、三浦は存在感を発揮した。スコアレスドローに終わったものの、「あのときはまだ心の準備ができていなかったけど、うれしかった」。素直にサッカーができる喜びをかみしめた。
最終節の日体大戦には先発出場。他会場で帝京平成大が敗れれば、この試合の勝者が優勝となる重要な一戦だった。三浦は、守備にセットプレーでのヘディングにと躍動。5分に失点したものの、39分にFW山田仁衣奈(3年、大商学園)のゴールで追いついた。その後、両校はゴールラインを割ることができず、1-1で試合を終え、東洋大戦に勝った帝京平成大が優勝となった。試合後、三浦は2位という結果に「向こうの試合を気にせず、こっちにだけ集中してました。最後に関カレ(のタイトルを)とりたかったな」と、悔しさをにじませた。
悔しさを晴らすチャンスは、まだ残されている。全日本選手権の2回戦では、なでしこリーグ1部のマイナビベガルタ仙台レディースと対戦。さらには、12月末からは4連覇をかけたインカレも開幕する。大舞台でこそ力を出すのが三浦だ。その挑戦は、まだ終わらない。