雌伏4年、はい上がった京大
5年ぶりに関西の1部で戦った京大が、一気に全国の決勝まで駆け上がった。
当初は苦戦し、立命館大には1-12の大敗。しかし、試合ごとに着実に完成度が高まり、ファイナル4では立命に8-6とリベンジ。国立対決となったファイナルは12-5で神戸大を圧倒。関西の頂点に立つと、この日の全日本学生選手権準決勝で東北大に10-8で競り勝ち、11月25日の決勝で早大と戦うことになった。
1on1勝負に関西の意地
準決勝では主将のMF和木英晃(4年、金蘭千里)が「しょっぱい試合をしてしまった」と言うように、課題を残した。前半から点差を広げ、後半は決勝に向けてチャレンジングなプレーを考えていた。最初のフェイスオフを京大のDF清水大雅(3年、四日市)がものにし、和木が先制点をあげたのは狙い通り。しかし、その直後に同点にされ、MF相田凛太郎(3年、滝)がショットを決めたが、また同点に。リードこそ許さなかったものの、取っては取られる展開が続いた。
第2~3Q(クオーター)に連続4得点で9-5としたが、第4Qで連続3失点で9-8。勢いは東北大に。ここで京大のAT(アタッカー)庄晋太郎(しょう、3年、川越)が決め、逃げ切った。庄は「僕たちは修正能力が高いので、今日見つかった課題は決勝までにリカバリーします」と前を向いた。
関東と関西ではラクロスの文化が異なる。パスを回して攻める関東に対し、関西は1on1(1対1)で突破を狙う。京大もそのスタイルだ。準決勝で庄が最後に見せたプレーも、相手を翻弄する素早い動きで1on1を競り勝った。今シーズンからスタメン入りを果たした庄だが、試合を重ねるごとに力を蓄え、関西ファイナル4の決勝では5点をあげている。「ATとして誰よりも点を取るのはもちろん、絶対取らないといけない場面で決められるプレーヤーでありたい」と話す通り、ここぞの勝負強さで京大に勝利をもたらしてきた。
決勝の相手は、関東最強の攻撃陣を誇る早大だ。ディフェンスの力が試される。京大のディフェンスリーダーであるDF山本太一(4年、明和)は、関西リーグのMVP。フィジカルの強さを武器に、突破を食い止める。副将のG(ゴーリー)鎌木誠人(4年、西大和学園)はセーブのみならず、積極的に前に出てパワープレーを仕掛ける。早大戦もこの二人の活躍次第だろう。山本は「早大は得点力のあるチームだから点の取り合いになると思ってます。2桁以上取られるとチームがしんどくなるので、9点以下に抑えてオフェンスにボールを回し、2桁以上点をあげるのが理想」と話している。
気持ちは東大とともに
早大戦に対して、京大には特別な想いがある。早大は関東の決勝で東大に勝った。京大と東大は年に一度、「双青戦」と呼ばれる対抗戦をする間柄で、仲間意識がある。ラクロスの優勝争いは私立大同士になることが多いため、「国立大同士の決勝ができたらいいよね」という話をすることもあったそうだ。コーチの宮崎一輝(大学院2年)も、「東大の敵討ちをしたいっていう気持ちもありますね」と話す。
京大は2014年、学生ラクロス連盟の委員会活動に複数回無断欠席したことを理由に、日本学生ラクロス連盟正式認定競技団体から準認定競技団体への変更処分を受け、2年間の公式戦出場停止と3部リーグへの降格という苦汁をなめた。そこからはストレートに勝ち上がり、今年、5年ぶりに1部リーグに帰ってきた。挑むことさえできなかった日本一へのラストチャンス。第1回大会の一橋大以来、9年ぶりの国立大の優勝へ。4回生の想いの強さが伝わる試合を期待したい。