ラクロス

特集:第10回ラクロス全日本大学選手権

関学Vのキーマンは「きー」浜野

1on1を勝ちきり、パスで仲間をアシスト

全日本大学選手権 女子準決勝

11月17日@大阪・ヤンマーフィールド長居
関西学院大 11-5 福岡大

浜野紗英(3年、御影)がフィールド上で存在感を放った。全日本大学選手権準決勝の舞台で堂々の2得点。「ナイスシュート!」。仲間の笑顔と歓声が祝福してくれた。関西リーグ戦では得点につながらず、悔しい思いをした。「関西のときは自分のプレーができてなかったけど、きょうは違った。シュートを決められたし、いままでの悔しさを爆発させられた」。気持ちをすべて、ゴールに押し込んだ。

「きー」と呼ばれて

浜野は周りを生かし、自分も決められるプレーヤーだ。得意の1on1(1対1)でしかける。前半22分、ゴール裏から回り込み、落ち着いてシュート。これが決まった。勢いそのままに前半残り24秒、相手のG(ゴーリー)の動きを見極めて下から投げ込み、2点目を決めた。浜野はゴール前で冷静になることを、いつも心がけている。1on1でディフェンスを交わし、ゴール前までボールを運ぶ。パスを投げ、仲間をアシスト。ときに自分で決める。小柄な体で素早く動き、相手を翻弄(ほんろう)。バスケットボール仕込みの動きがいま、ラクロスに生かされている。

浜野は高校からバスケを始めた。身長153cmと小柄で、部の中で逆に目立っていたという。ある日、2年生の先輩が「キーマンになってほしい」という思いをこめて、「きー」というコートネームをつけてくれた。視野が広く、周りを見て動き、生かすプレーが武器だった。名前にふさわしい実力も身についた。兵庫県選抜にも抜てきされた。「大学でもキーマンとして活躍したい」。今でもコートネームを愛用し、自分がチームを引っ張る気持ちは変わらない。  

チームを思い、働きかけた

チームを思う気持ちは人一倍強い。今シーズンはサブアタックリーダーに就任。自分のプレーを磨くより、アタック陣全員の強みを生かし合うためのチームづくりに心を砕いた。一人ひとりの強みに焦点を当て、その人のプレーに合ったアシストを研究。練習中から常に強みを探し続けた。すると、パスキャッチやボールキープがまだまだだと感じた。浜野は「それぞれの1on1は強いけど、基礎が足りてない。関東を倒すためにはもっと求めないと」と強く思った。組織面でも「全員が戦力」になるため、チームとして個人として何ができるか考えた。学生日本一にふさわしい組織になるため、自分の意見をぶつけることもあった。常に向上することを忘れず、チームのために働きかけた。

浜野はサブアタックリーダーとして、勝利を引き寄せる

学生日本一まであと1勝と迫った。相手は昨年日本一の慶大だ。慶大のGは日本代表の選手。関学はアタック陣が鍵となる。また、慶大は運動量が豊富で、体力勝負にもなる。関学は昨年、関西4位に終わった。この2年の悔しさをぶつけるときが来た。「いままでの試合とは違い、プレッシャーがある。でも、勝ってやるという気持ちが強くて、ワクワクしてます。自分のプレーで勝利に導きます!」。浜野の目は燃えていた。学生日本一への道のりはキーマン、「きー」こと浜野が切り開く。

in Additionあわせて読みたい