ラクロス 雌伏3年、関学AT吉岡は得意を磨いて輝いた
雌伏の3年間を経て、大舞台で花開いた。関学のAT吉岡奈緒(4年、京都外大西)が大教大との準決勝で2得点を挙げた。昨年までの自分には遠い世界だったこの舞台。3年間たまりにたまった思いをみなぎらせ、この一戦にぶつけた。
「チームのためにも、いままでの先輩方のためにも勝たないといけない試合だった。勝ちきれてよかった」。昨年は準決勝で関大に1点差で敗れた。そこから1年の取り組みが正しかったと証明するためにも、勝つことだけ考えてフィールドを駆け回った。
貪欲にゴールに向かい続けた。前半11分。1対1を仕掛け、ゴール裏に回る。相手ディフェンスを抜き去り、振り返りざまにボールを押し込んだ。前半残り1分にも、インターセプトを決めたMF喜田絢子(3年、豊中)からのパスを受け、決めた。「ずっと練習してた裏からのシュートが決まってうれしい」。だが、後半はミスが目立って追い上げられたが、6-4と振り切り、同志社大との決勝へ進んだ。
Bチームに落ちて、考え方を変えた
中学のころは陸上部で800m、1500mという中距離ランナーだった。京都外大西高に入り、目に止まったのはラクロスだった。「プリキュアの主人公がやってたやつや」。初めてクロスに触れ、のめり込んだ。たいして勝てなかったが、ラクロスが楽しくて仕方なかった。
「楽しむ」から「本気」に変わったのは、関学ラクロス部との出会いがきっかけだった。「日本一」を目指すチームに惹かれた。関学は日本一まで勝ち抜くことだけでなく、組織としても日本一を目指している。吉岡は真の日本一を狙う集団に加わった。
順風満帆とはいかなかった。「去年までまったく活躍できなかったので、本当に悔しくて苦しかった」。昨年8月のリーグ開幕戦には出たが、9月にはBチームに落ちた。「アタックサブリーダーとしてチームを引っ張る立場だったのに、チームの戦術に対して自分のスキルがまったく足りてなかった。これといった強みもなかった」
ここであきらめなかったから、吉岡の未来は変わった。
自分のプレーを撮影して見返し、先輩やコーチにアドバイスを求めた。自分について考え抜くことで、自分が得意とするプレーも見つけた。ゴール裏からの振り返りざまのシュートと、カットだ。得意を磨いて武器にすることで、チーム内の存在感が増してきた。今シーズンはリーグ戦6試合で7得点。立派な「点取り屋」となった。「どんなに苦しくてもラクロスが好きな気持ちは変わらなかったし、同期のみんなが支えてくれました」。好きなラクロスだからこそ、うまくいくとうれしい。とことん本気で向き合い、自分を向上させられた。
関学は2年前に関西制覇を達成したあと、社会人チームにも勝って、創部初の日本一に輝いた。当時2年生だった吉岡にとっては、あこがれの瞬間であり、最高の瞬間だった。今年は自分が日本一に導く番だ。「いま、このメンバーでラクロスができる時間を大切にしたい。絶対にてっぺんを取ります」。決勝は昨年優勝の同大と戦う。リーグ戦では10-5で勝った相手だが、何が起こるか分からない。全力で挑むだけだ。吉岡奈緒は大好きな仲間と一緒に、大好きなラクロスで、頂点まで駆け上がる。