V決定の早大、3年生以下で順大撃破
2試合を残し、3年ぶりのリーグ優勝を決めてから1週間。早大はこの日、U21日本代表に選出された守護神のGK小島亨介(4年、名古屋グランパスU18)と、特別指定選手として名古屋グランパスに帯同するMF相馬勇紀(4年、三菱養和SCユース)の欠場を決めていた。今季のチームコンセプトは「変化こそ成長」。優勝を決めても、そこがブレることはなかった。「それなら割り切って」と、外池大亮監督は3年生以下にこの一戦を託し、6カ月ぶりに3バックにも挑戦させた。
フリックを絡めたサインプレー
早大は主導権を握りながらも、立ち上がりは攻め込めなかった。しかし、MF藤沢和也(3年、早稲田実)やFW武田太一(3年、ガンバ大阪ユース)が起点となって徐々に打開し、16分にコーナーキックを獲得。低弾道のボールをニアサイドでフリックし、最後は藤沢がネットを揺らす。歓喜の輪が生まれた。「いままでもやってたけど、1回も決めきれてなかった」と藤沢が明かした、サインプレーだった。
その後もMF金田拓海(3年、ヴィッセル神戸U18)とMF栗島健太(3年、流通経大柏)を中心に、中盤を制圧。そして43分、金田のスルーパスにFW杉田将宏(1年、名古屋グランパスU18)が反応。1対1になると冷静にGKをかわして決め、2-0で折り返した。
順大も黙っていない。ハーフタイムに2枚替えで修正してきた。早大は63分に左サイドを崩され、順大のMF長倉幹樹(1年、浦和レッズユース)に決められて1点差とされると、劣勢が続く。試合終了までの約30分間は、押し込まれる時間帯が続いた。ただ、外池監督がリーグ優勝の要因として挙げる「際で戦える強さ」は、この日も健在。苦しい状況下でも相手へのプレッシャーを緩めず、勝負どころではGK千田奎斗(2年、横浜F・マリノスユース)の好セーブや、ゲームキャプテンを務めたDF大桃海斗(3年、帝京長岡)ら守備陣のカバーリングでしのいでみせた。次代を担う選手たちだけで、今シーズンのリーグ戦で常に上位につけてきた順大に勝った。
インカレや来シーズンを見据える上でも、この勝利が持つ意味は大きい。「今日の試合でもう一回り大きくなった」と外池監督も称えたように、1年間を主力として過ごしてきた3年生の選手たちが、この日はチームの柱として奮闘。戦い方の幅も広がり、スタンドから見守った4年生の選手たちに刺激を与えた。外池監督は試合後、次節に向けた大胆な“変化”にも意欲を示した。最終節、王者はどんな顔を見せるのか。優勝を成し遂げても、なおも進化を加速させる早大から目が離せない。