サッカー

立命DF小松、ラストゲームからの再出発

1部残留は決まったが……

関西学生リーグ後期1部第10節

11月17日@京都・西京極陸上競技場
立命館大(勝ち点26) 4-2 京産大(26)

前節で6試合ぶりに勝った立命館はこの日、是が非でも9位以上を確定させ、入れ替え戦を回避したかった。そして京産大に快勝し、連勝で1部残留へと大きく前進。試合後に残留争いの相手である大阪学院大が同志社大に負けたため、最終節を残して立命館の1部残留が決まった。

始まりはクリロナの動画だった

京産大戦ではFW築山隼(はやと、3年、久御山)がハットトリックの大活躍で、勝ち点3の立役者となった。守備陣に目を移すと、後半にセットプレーから2失点。一時は1点差に迫られ、肝を冷やす展開となった。この日の展開からも分かるように、立命館のディフェンス陣は試行錯誤が続く。その真ん中でプレーするのがセンターバックの小松拓幹(たくみ、3年、阪南大)。187cmの長身で、空中戦での強さを誇る。

小松は小学3年のとき、地元大阪のチームでサッカーの世界へ足を踏み入れた。当時を思い返し、そのきっかけについて「クリスティアーノ・ロナウド選手の動画を見て、友だちと『サッカーをやろう』って言って始めました」と語る。中学生になると、1年前にできたばかりのチームに入った。小学校のときの監督がそのチームも指導していて、「ボールあげるからおいで」と誘われたからだ。その誘い文句を思い出しながら、小松は笑った。身長も伸びた時期で、サッカーの力も蓄え、地域のトレセンにも選ばれるようになった。

空中戦が小松の強み

高校へはサッカーのスポーツ推薦で進みたかった。近所の高校を考えていたら、中学の先生が「もったいないぞ。阪南大高校はどうや?」と、大阪の強豪を口にした。その後、トレセンの一員として出たセレッソ大阪Jr.ユースとの試合を阪南大高の監督が見にきてくれて、スポーツ推薦で進学できることになった。

阪南大高でレベルの高いサッカーを3年間経験したことが、小松のサッカー人生において、とても大きかった。とくに、1年生からBチームでずっと試合に起用してもらったのがよかった。その年の冬にはトップチームの試合にも出るようになった。

もやもやした1年

大学進学でも関西を離れる気はなかった。立命館に決めた理由を問われると、「僕はビルドアップが苦手で、それを克服したかったんです。立命はビルドアップから攻めるサッカーをしてたんで、ここに入って苦手をなくそうと思いました」と話した。

幼いころからスタメンで試合に出続けてきた小松だが、壁にぶち当たった経験がある。立命の1回生のときにU19大学選抜に入った。関西からは3人しか選ばれなかった。しかし、選抜チームの練習で、ほかの選手との差を痛感し、実際に試合にも出られなかった。そこで活躍した同年代の選手たちが次のステップである全日本大学選抜で躍動する姿を見ると、悔しくてたまらなかった。その思いから、練習から改善点を意識して取り組むようになった。ビルドアップにも、まだまだ改善の余地があると分かっている。

3回生となった今年のリーグ戦は、前期が始まって早々に肉離れを起こしてしまった。前期の第8節でメンバーには復帰したものの、試合には出られなかった。2勝5敗4分けで9位という前半の低迷について「僕が出られないから勝てなかったと言うわけではなかったです。正直、誰が出てても同じだったと思います」と振り返る。

後期から戦列に復帰すると、初戦から3連勝のあと4連敗。「前期と同じことを繰り返してしまいましたね。失点の多い原因が、見つかっていないです」と小松は正直に言う。そんな中、なんとか1部残留だけは死守した。

最終節、4回生に見せられる試合を、来シーズンにつながる試合を

小松はこの1年を振り返って言った。「立ち上がりから思うような結果が出ず、総理大臣杯、インカレとも出られませんでした。今日から日本一という目標に向かって、もう一度取り組んでいきたいです」

最終節の近大戦は今年の総決算となる。小松としては引退していく4回生に、成長した姿を少しでも見せたい。立命の守備陣は、個々の能力は高い。最終節こそ真価を発揮して、ゴールに壁をつくってくれると信じている。

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