早大の「4年生チーム」不完全燃焼
大学サッカーの聖地・西が丘で、早大はリーグ戦王者として大会のトリを務めた。法大に4年生の全選手17人で挑んだが1-2で敗北。勝利では締めくくれなかった。
「やめようか」の話も
優勝決定後、外池大亮監督は、順大戦は3年生以下で、法大戦は4年生で臨むことを伝え、以降の練習は4年生と3年生以下に分かれた。前節で順大を撃破した3年生以下のチームに対し、4年生のチームは苦労もあったという。「やめようかという話もしていた」と外池監督は振り返る。それでも、18日の明大サブ組との練習試合で、4年生主体で臨んだ時間帯は無失点だった。週半ばの紅白戦では3年生以下のチームに勝利。結果が伴い、監督も決断した。最終節の早大のメンバー表には、4年生の選手全員の名前が記された。
急造チームだが、主将のFW岡田優希(4年、川崎フロンターレU18)は「4年間一緒にやってきて、お互いにイメージはつかめていた」と自信をのぞかせた。それでも、個々の経験値やチームの完成度で法大に分がある。厳しい展開になることは想像に難くなかった。
同点のチャンスも……
走り勝つことで流れを呼び込もうとしたが、開始5分でサイド攻撃から先制を許し、受けに回る展開となった。それでも、試合にかける思いは早大も負けてはいない。粘り強く相手の攻撃を跳ね返し続け、そのまま前半を終えた。
ハーフタイムに外池監督は発破をかけた。「今日は思い出づくりでもなく、勝ちにいく姿勢があってこその試合。耐え忍んでる姿で3年生以下に何かを伝えられるのか」。後半14分にCKから失点し、それ以降もピンチが続いたが、気持ちは切れなかった。29分、相手のミスを突いて速攻に転じ、前線にポジションを移していたMF石神佑基(4年、市浦和)がゴール。ワンチャンスを生かし、一気に反撃ムードが高まった。ゴール付近でのプレーも増え、迎えた44分、MF飯原健斗(4年、國學院久我山)に決定機が訪れた。しかしシュートはブロックされ、そのまま試合終了となった。
3178人の視線の中、チームを引っ張ってきた4年生が自らの力で強さを示すチャンスだった。とくに前半、岡田は「カウンターの機会すら相手に奪われた」と語った。後半は粘り強く戦い、チームスローガンの「ドライブ」を体現したものの、不完全燃焼の感は大きい。「悔しい」「物足りない」。4年生の選手たちは、そう口をそろえた。
9月の総理大臣杯では、前期リーグ戦の快進撃で培った自信が過信となり、慢心へと姿を変えた。その結果、痛恨の初戦負け。12月のインカレで、同じ失敗を繰り返すわけにはいかない。この日、チームをけん引する4年生が感じた悔しさや危機感が、早大をもうひと伸びさせるための原動力になりそうだ。