サッカー

エース坂元が救った 東洋大が初のインカレへ

後半、MF坂元もFWに上がり攻撃をしかけた

関東大学リーグ戦1部第22節

11月24日@栃木市総合運動公園陸上競技場
東洋大(勝ち点30) 2-2 国士大(16)

東洋大が土壇場で追いつき、国士大とドロー。7位でリーグ戦を終え、1966年の創部以来初となるインカレ出場権を獲得した。

流経大の情報が入り、監督が決断

3連勝中と勢いのある国士大に押し込まれ、前半はなかなか攻めに転ずることができなかった。しかし、スコアレスで折り返すかと思われた前半44分、CKの流れからMF高橋宏季(4年、FC東京U-18)がクロスを上げると、前線に残っていたDF浦上仁騎(4年、大宮ユース)が一人かわしてからシュート。これがFW小林拓夢(3年、帝京長岡)の足元へ。小林が左足で押し込み、先制点を挙げた。1点のリードに古川毅監督も「プラン通り」と納得して試合を折り返した。

しかし後半、国士大の猛攻にあう17分、右からのクロスをヘディングで合わせられ、同点とされた。さらに4分後にはDF渡辺星夢(しょうむ、4年、前橋育英)がペナルティーエリア内で相手を倒しPK。これを国士大のMF諸岡裕人(4年、正智深谷)に決められ、勝ち越された。

このとき、ほかの会場でインカレ出場権を争う8位の流通経済大が先制したとの情報が入る。このままいくと8位になり、インカレ出場が断たれてしまう東洋大。ここで古川監督は勝負をかける。小林に変えFW荒川勇気(3年、旭川実)を投入。またDFの浦上を1列上げ、MFの坂元達裕(4年、前橋育英)をサイドからFWに変えて、超攻撃的に出た。

しかし決定機をつくり出せないまま時間は進み、残り10分。「負け」の2文字がちらつく中、この状況を救ったのはやはりエースだった。後半34分、高橋がドリブルで持ち上がるとサイドにいたMF松崎快(3年、大宮ユース)へパス。松崎が中に入れたボールを坂元が右足で振り抜く。これがゴールネットを揺らした。値千金の同点ゴールだ。「何としてでも(PKを与えてしまった)星夢(渡辺)の分を取り返してやろうと思った」と坂元。坂元へ真っ先に駆け寄った渡辺は「タツ(坂元)が決めたときは、育英から一緒だったので涙が出た」と振り返る。

途中交代でベンチから戦況を見ていた小林は「エースだなって実感した」。坂元の勝負強さを、目に焼き付けた。試合を2-2の振り出しに戻した東洋大は、そのまま守り切った。

特別な意味を持つ同点ゴールに喜ぶ坂元

後期リーグでは、国士大戦前までわずか2得点と苦しんでいた坂元。しかし「何としてでもインカレに出たいという気持ちが強かった」と、大一番でエースの仕事をやってのけた。これで今シーズンはチームトップの8ゴール、終わってみると4年間で一番の成績だった。

晴れてインカレの切符を手にした東洋大だが、「タイトルを獲ることが自分たちの本当の目標」と坂元はその先を見据える。創部初のインカレ出場という悲願は達成したが、出場することだけに満足する者はいない。「怖さを知らないのは、武器になる」と古川監督が語るように、初出場の勢いそのままに勝ち上がれるか。インカレでも東洋旋風を巻き起こす。

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