ラクロス

特集:第10回ラクロス全日本大学選手権

学生女王の関学 苦しんで見つけた主将像

長村は主将としてチームを引っ張り、決勝でも気持ちのこもったプレーを見せた

全日本大学選手権 女子決勝

11月25日@東京・駒沢オリンピック公園総合運動場陸上競技場
関西学院大 5-2 慶應義塾大
3度目の優勝

日本一の景色は格別だった。主将のMF長村由紀乃(4年、啓明学院)率いる関学ラクロス部女子が、全日本大学選手権で慶應を5-2で下し、優勝。昨年女王を倒し、2年ぶりの日本一に返り咲いた。「言葉にできないくらいうれしい。75人の部員たち、OB・OGのみなさん、監督、すべての人にありがとうと言いたいです」。去年の11月4日、関西4位で夢を絶たれた。再出発をしてから1年。ついに夢をつかんだ。涙を流しながら仲間と抱き合い、喜びに浸った。

先制から勢いに乗ってつかんだ勝利

関学は挑戦者として臨んだ。慶應のG(ゴーリー)は日本代表。アタック陣がどれだけ攻めきれるかが鍵だった。また、慶應は運動量が多く、負けずに最後まで走り切る体力も必要だった。拮抗した試合は前半13分に動いた。関学のAT(アタッカー)吉岡奈緒(4年、京都外大西)がこぼれ球を拾い、ゴール前で左から放ったボールはGの頭上を越え、ネットを揺らした。さらに16分にはMF中山愛友(3年、千里)がAT浜野紗英(3年、御影)から受けたパスでシュート。2-0で試合を折り返した。

後半早々、慶應のAT吉岡美波(4年、大妻多摩)に決められるも、関学はMF喜田絢子(3年、豊中)とAT我妻彩里(3年、加古川北)が立て続けに決めて4-1。これが大きかった。関学に歓喜の瞬間が来た。「追われる立場でも、強気で攻められた」と、長村は仲間を称えた。攻守ともに一歩も引かず、勝ちたいという気持ちを勝利につなげた。

「こんなに弱気じゃあかん」

長村は主将になった当初は「主将としてチームを率いる技術も実力もない」と毎日が苦しかった。不安と焦り。前向きにラクロスと向き合えず、チームに対して申し訳ない気持ちでいっぱいだった。

だが、関西リーグの開幕戦で不安は消えた。フィールドの選手は攻めのプレーを見せ、スタンドは全力で応援。立命に12-3で圧勝した。OBからは「ゆん(長村)らしいチームをつくってくれたね」と声をかけられた。

「こんなに弱気じゃあかん」。完璧な主将像を追い求めすぎていた長村は、自分のできることに尽力した。自分の空いている時間はすべて自主練に費やし、メンタルトレーニング、フィジカル強化に取り組んだ。ラクロスに本気で向き合うことで、背中でもチームを引っ張れた。「不安がなくなって、自分はラクロスをやるだけ。苦しい時間があったからこそ、いまは本気で楽しめています」。自分に見合った主将像と思えた、ラクロスに打ち込んだ。

仲間たちと最高の笑顔で

「このチームは愛であふれてる」。長村にとって関学ラクロスは家族のように大切な存在。大好きだからこそ、本気でぶつかり、思いを伝えあってきた。「私にとってこの75人の一人ひとりが原動力。みんなの笑顔のためなら何でもできる。このチームで真の日本一をとりたい」。残すは12月8日に始まる全日本選手権。大好きな関学ラクロスで夢をつかむ。

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