ラグビー

早大が対抗戦V、明大の重戦車止めた

カウンターからステップでタックルをかわし、トライを演出した岸岡

関東大学対抗戦Aグループ

12月2日@東京・秩父宮
早稲田大(6勝1敗) 31-27 明治大(5勝2敗)

「創部100周年の年に一つ歴史が刻めてよかった」。早大の相良南海夫監督は、そう喜びを口にした。5勝1敗で並んだ早大と明大が、互いに優勝をかけて激突した。早大はスクラムの強さを誇る明大に対し、相手ボールのスクラムを極力少なくするよう仕向けた。ここ数試合の課題だった立ち上がりの悪さも克服。先制トライを挙げると、粘りのディフェンスで明大を寄せつけず。終始先行したまま31-27でノーサイド。帝京大と同率で対抗戦8年ぶりの優勝を決めた。

重戦車封じにBK陣も勢いづく

試合は開始直後から動いた。早大は帝京大戦で序盤に苦しんだが、この日は違った。前半2分、右ゴール前でのラインアウトから左に展開すると、FB河瀬諒介(1年、東海大仰星)がインゴールに飛び込む。この先制トライが、チームに勢いをつけた。その後、早大は1本、明大は2本のPGをそれぞれ決め、10-6。30分にはSO岸岡智樹(3年、東海大仰星)がカウンターをしかけてディフェンスを突破すると、大外でサポートに付いていたNO8丸尾崇真(2年、早稲田実)につないでトライ。

しかし、明大FW陣、別名「重戦車」たちも黙っていなかった。34分、ラインアウトでペナルティーを取られ、明大ボールのファーストスクラムに。「明大はボールを入れてからの第二波が強かった」と、ロック下川甲嗣(2年、修猷館)は振り返る。練度の高いスクラムで押し込まれ、攻撃の起点をつくられた。そのままトライを許すと、その直後にも自陣で明大ボールのスクラムを組まれピンチに。ここはターンオーバーし、17-13で試合を折り返した。

後半11分、自陣22mライン直前の早大のペナルティーに対しても明大はスクラムを選んだ。インゴール手前でのスクラムに早大のFW陣が奮起。より低くスクラムを組み、明大のコラプシングの反則を誘発した。帝京大戦までマイボールスクラムの成功率が98%と、驚異的な強さを誇った重戦車を止めた。「スクラムを選択されて悔しい気持ちもあったので、そこでエネルギーがマックスになった」と、プロップ鶴川達彦(4年、桐蔭学園中等)は振り返る。

中野は試合の流れを引き寄せる2トライ

早大FW陣の健闘にBK陣も勢いづく。直後に「外にスペースがあるのが見えてました」と、CTB中野将伍(3年、東筑)が相手のギャップを突いてディフェンスラインを突破し、トライ。その後も自陣深くから一人で相手陣まで駆けるビッグゲインでチャンスを演出し、さらにカットインからインゴールを陥れるなど、獅子奮迅の立ち回りだった。BKのコミュニケーションミスなどで2つのトライを失うシーンもあったが、粘りのディフェンスを披露。意地を見せる明大の16フェーズ目で丸尾がボールに絡み、ペナルティーを奪うと、31-27でノーサイド。6勝1敗で8年ぶりとなる対抗戦優勝を決め、選手たちは喜びを爆発させた。

「僕たちの本当の目標は『荒ぶる』なので、ここから一番のスタートを切らなくてはいけない」と、フランカー佐藤真吾主将(4年、本郷)。終盤にディフェンスラインを突破されたという課題もある。勝って兜の緒を締めよ。対抗戦に優勝を果たしてなお、全国大学選手権制覇へ向けて気を緩めるな。100周年という節目の年に10年ぶりの「荒ぶる」を謳い、新時代を築けるか。早大の真の挑戦が、いま始まる。

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