宿敵追い詰めた立命館、また知ったKGの恐ろしさ
立命館は3年ぶりの甲子園ボウル出場をかけて、2週間ぶりに関学と相まみえた。関西学生リーグ1部の最終戦では7-31で負けた相手。今回も苦しい展開が予想されたが、パンサーズの面々がそんな前評判を覆した。熱戦の末に敗れたが、来年につながる挑戦だった。
ランに活路
前回の対戦では立命館が追い上げる展開になってパスが増え、QB荒木優也(3年、立命館守山)が何度も相手ディフェンスに襲いかかられた。ただ、中央付近のランは出ていた。そのランにかけ、この日最初の攻撃シリーズは関学を翻弄(ほんろう)。荒木のショートパスも決まり、第1クオーター(Q)6分すぎ、RB藤岡峻平(4年、立命館宇治)の8ydタッチダウン(TD)ランで先制。6-0としたが、トライフォーポイント(TFP)のキックは関学にブロックされた。ここで追加できなかった1点が、最後に大きく響くことになる。
直後の関学の攻撃でフィールドゴール(FG)を決められ、6-3。第2Q10分すぎ、相手QB奥野耕世(2年、関西学院)の不用意なパスをDB松山陸(4年、鳥羽)がこの日2度目のインターセプト。ディフェンスの仲間たちが必死に走って関学オフェンス陣をブロックしてくれたこともあり、松山は俊足を飛ばして左サイドを駆け抜けた。68ydのリターンTD。13-3とリードして試合を折り返した。
新チームは甲子園を知らないメンバーに
立命館は後半も先にFGを決めて16-3。しかし、ここから関学の意地を見せつけられる。第3Q9分すぎ、リーグ戦では出番の少なかった主将のQB光藤航哉(4年、同志社国際)に見事なTDパスを決められ、16-10に。立命館は第4Qに入ってすぐ、LB古谷海人(4年、足立学園)が相手のパスをインターセプト。敵陣38ydと絶好のフィールドポジションを得たが攻めきれず、FGの3点どまり。19-10とした。関学は直後のオフェンスで11プレーで75ydを攻めきるTD。19-17に追い上げられた。
残り時間は3分44秒だ。立命館は次の攻撃を長引かせられれば勝てる。しかし反則もあり、攻撃権を一度も更新できなかった。残り1分56秒でボールは関学に渡った。リードは2点。FGでひっくり返される。嫌なムードの中、関学に2度のパスを通され、ゴール前7ydまで攻め込まれた。FGのキックに対して必死でラッシュをかけたが、届かない。関学サイドは割れんばかりの大歓声。立命館のディフェンス陣は、その場で崩れ落ちた。勝負の明と暗が、あまりにもくっきりと染め分けられた瞬間だった。
試合後、立命館の3回生QB荒木は言った。「とても攻撃のテンポがよかった。オフェンスのメンバーがかみ合っていて、いいリズムで攻められました。でも後半には点が取れなくなって、気づいたら逆転されてました。僕たちの実力不足なのか、相手がアジャストしてきたのかは分からないです。僕たちがいままで積み上げてきたものは100%出せたと思うんですけど、関学はそれでは勝てない相手だった。120%出せたら、もっと違う結果にはなったと思う。来年の新チームは誰も甲子園ボウルを経験していない世代になってくるので、先輩たちが積み上げてきたものを受け継いで、僕たちの持ってきるものをそれに上乗せして、来年は関学に勝ちます」。大一番での4回生の頑張りと、この悔しさを心に刻み、甲子園ボウル出場へと向かっていってほしい。