関学は死なず 劇的逆転で甲子園ボウルへ
アメフトの学生王者を決める全日本大学選手権決勝・甲子園ボウル(12月16日、阪神甲子園球場)は関西学院大(関西1位)と早稲田大(関東1位)の顔合わせになった。2日の西日本代表決定戦で関学が立命(関西2位)に20-19で逆転勝ちし、東日本代表決定戦で早大が55-14で東北大(東北)を下した。
関学は死ななかった。2点を追う試合残り2秒からのラストプレー。キッカーの安藤亘祐(3年、関西学院)が24ydのフィールドゴール(FG)を成功させ、20-19と逆転サヨナラ勝ち。辛くも3年連続の甲子園ボウル進出を決めた。
2週間前の関西学生リーグ最終戦では31-7で下した立命に苦しめられた。ランプレーで畳みかけられ、第1クオーター(Q)6分すぎにRB藤岡峻平(4年、立命館宇治)に8ydのタッチダウン(TD)ランを決められる。TFPのキックはブロックし、0-6。関学は直後のオフェンスでゴール前まで迫るも、FGどまりで3-6。しかもこのシリーズでエースRB山口祐介(4年、横浜栄)が負傷退場。暗雲が垂れ込めた。第2Qの10分すぎにはQB奥野耕世(2年、関西学院)の不用意なパスが立命のDB松山陸(4年、鳥羽)に奪われる。松山はそのまま左サイドライン際を走り抜けて68ydのインターセプトリターンTD。関学は3-13で試合を折り返した。
後半も先にFGでの追加点を許し、3-16とされる。関学はここから、得意の空中戦で勝利への扉をこじ開けた。自陣21ydからのオフェンスで奥野がWR小田快人(4年、近江)へ続けてパスを通し、敵陣24ydへ。ここで奥野と交代で出た主将のQB光藤航哉(4年、同志社国際)が左サイドへ走り込んだWR阿部拓朗(3年、池田)へパスを通す。阿部がエンドゾーンまでの8ydほどを駆け抜けた。第3Q9分すぎ、10-16となった。リーグ戦では出場機会に恵まれなかった光藤の今シーズン初のTDパス。これがチームに希望を与えた。
第4Q4分すぎに立命にFGを決められて10-19になったが、直後のシリーズをラン5、パス6の11プレーで攻めきってTD。17-19と迫った。次の立命のシリーズで攻撃権更新を許さず。試合残り1分56秒、自陣36ydから2点を追う最後の攻撃が始まる。この日三つのインターセプトを食らっていた奥野が奮起。WR松井理己(4年、市西宮)へ24ydのパスを通すと、一つのパス失敗を挟んで、WR阿部に通した。阿部が鋭く走ってゴール13ydへ。完全にFG圏内に入り、逆転サヨナラ勝ちが見えた。さらに2度のランでゴール前7yd。残り2秒でタイムアウトをとり、キッカーの安藤に託した。この日45ydのFGを外していた安藤だが、この距離ならイージーだ。しっかり蹴り込みむと残り時間はゼロに。関学が歓喜の瞬間を迎えた。立命ディフェンスの選手たちはその場にへたり込み、涙に暮れた。
60歳になったばかりの関学の鳥内秀晃監督は「四つもターンオーバーしてて、よう逆転サヨナラできたもんや。最後まであきらめんと、学生らが自分のやることをやりきったのが大きいんちゃうかな。奥野は三つもインターセプトされて、ちょっと調子に乗りすぎや。ええ勉強になったんちゃう?」と話した。
今年から復帰した立命の古橋由一郎監督は「後半はオフェンスがちょっと消極的になってしまいました。最後はディフェンスに体がボロボロのメンバーが何人かいて。持ちませんでした。奥野君に、うちの弱いところを突かれました。ウチの戦力は去年がピークで、今年は弱い、弱いと言われてきました。だから全員で頑張るんだというのを徹底して、去年よりいいチームになったと思います。」と語った。これで来年の立命には甲子園ボウルを経験した選手がいなくなる。