唯一初出場の東洋大、怖いもの知らずで頂点狙う
いよいよだ。東洋大は今回の出場24校で唯一の初出場。1966年の創部以来初めての舞台は12月12日、IPU・環太平洋大との1回戦で幕を開ける。
関東リーグ戦1部の前期は守備が安定せず11試合で18失点。思い通りの試合運びができず、10位に沈んだ。1カ月の中断期間を利用して古川毅監督が手を加えたのは、前線からの連動した守備だ。後期はFWからDFまでが間延びすることなく、コンパクトな陣形を維持し、相手に突破口を与えなかった。それが勝利につながったのが第16節の明大戦だ。相手は夏の総理大臣杯を制し、勢いに乗るチーム。何度も自陣深くまで攻め込まれたが、DF浦上仁騎(4年、大宮ユース)を中心に、体を張った守りで得点を許さない。最後まで集中力が切れず、2-0の完封勝利。その前節に続くクリーンシートの試合だったこともあり、MF坪川潤之(3年、矢板中央)の口からは「あまりやられる気がしない」との言葉も飛び出した。それもそのはず、後期は11試合で9失点。うち5試合は無失点で終えるなど、失点は前期の半分に減っていた。後期は固い守りを維持でき、第13節から10戦負けなしと自信をつけた。インカレでも東洋大の大きな武器になるだろう。
待たれる攻撃陣の爆発
一方の攻撃に目を向けると、少し消化不良の部分はあった。第15の節順大戦、第17節の駒大戦、第20節の桐蔭横浜大戦、第21節の法大戦はすべてスコアレスドローだった。守備陣の奮闘に支えられたが、多くの決定機を作っていただけに勝ちきりたい試合だったことは間違いない。それでも飛躍をとげた男もいる。後期からスタメンに定着したFW小林拓夢(3年、帝京長岡)は、第18節の早大戦で今シーズンのリーグ戦初ゴールを含む4得点。課題であったポストプレーにも磨きをかけ、持ち味のゴール前での嗅覚を発揮。ペナルティーエリア内では相手の脅威になった。また9月にJ2山形への加入が内定した坂元達裕(4年、前橋育英)も後期から主戦場を右サイドハーフに戻し、2人に囲まれても巧みなボールキープでかわしていくテクニックは健在だ。FWに入る松崎快(3年、大宮Y)との相性もよく、二人で局面を打開する場面が何度も見られた。坂元はチームトップの7得点、だが「大事な時に点が取れなかった」と満足はしていない。負けたら即敗退のインカレでは、どんな形であろうと1点が大事になってくる。攻撃陣の爆発に期待したいところだ。
関東第7代表からの挑戦
「怖さを知らないというところを武器にできれば」。古川監督は、初出場という立場を逆手に取った発言をした。後期で見せた戦いを再現できれば、十分上位を狙えるだろう。主将としてチームを引っ張る勝野瑛(4年、浦和ユース)は「チャレンジャーの気持ちを持って日本一を取れるように」と、今春に掲げたタイトル獲得というゴールに向かって、気を引き締める。4年生にとっては学生最後となる大会。1試合でも長くこのメンバーで戦うために、東洋大は関東地区第7代表から日本の頂点を目指す。