陸上・駅伝

入賞まで1秒未満、東洋大女子の挑戦は続く

室伏(左)は9位で4区の伊東に襷リレー

富士山女子駅伝

12月30日@静岡・富士市/富士宮市
9位 東洋大 2時間28分2秒

目標にしていた8位との差は、1秒もなかった。東洋大学女子長距離部門が挑んだ富士山女子駅伝は総合9位という悔しい結果になった。それでも2016年の総合10位を上回る過去最高順位だ。地道ではあっても、着実に歩みを進めている。

繰り上げスタートの屈辱から3年

1区の田浦英理歌(1年、ルーテル学院)は先頭の見える12位で襷(たすき)をつないだ。2区の和田美々里(2年、順天)と3区の室伏杏花里(4年、白鴎大足利)の力走で順位を三つ上げて9位に。4区の伊東明日香(1年、順天)が2人を抜き、入賞圏内の7位でつないだ。しかし、最長区間を任されたエースの白川恵理菜(3年、常総学院)が区間10位と力を発揮できず、10位に後退。6区の山口いずみ(3年、順天)、7区の森田歩実(4年、浜松商)が追い上げたが、前を行く日体大に、わずかのところでかわされた。

森田の追い上げたが、1秒差で入賞を逃した

「富士山女子駅伝には苦手意識がある」。そう振り返るのは、創部当初からチームを支えてきた永井聡監督だ。チームとして忘れてはならないのが、15年の繰り上げスタートだ。チームカラーである鉄紺色の襷ではなく、繰り上げスタート用の真っ白な襷を肩にかける屈辱を味わった。今回の駅伝に出場した室伏と森田は当時1年生。ともに区間最下位に落ち込み、繰り上げスタートの要因をつくってしまった。

しかし、その屈辱から東洋大は格段に成長した。16年の全日本女子大学駅伝では創部初となるシード権を獲得。さらに17年には関東の強豪・大東文化大を抑え、関東女子駅伝で初優勝を飾った。屈辱をバネに全国区でも戦える力をつけた。

富士山女子駅伝は総合9位に終わった。届きかけた入賞に落胆した様子を見せた森田だったが、同期の室伏、そしてサポートに入っていた江口沙羅(4年、諫早)がすぐさま彼女に駆け寄った。無念の繰り上げスタートから3年、チームの主力へと成長した室伏と森田は、最後まで諦めない執念の走りを披露した。「今年の結果はまた、来年の結果につながる」。そう語るのは二人のレースを見届けた主将の曽我笑夢(えむ、4年、須磨学園)。3年前に味わった悔しさと同様、今回の悔しさが好結果につながる日は必ず来るはずだ。

森田を支える江口(左)と室伏

東洋大女子長距離部門は2012年の設立と歴史は浅い。発展途上のチームではあるが、悔しさを力へと変えてここまでやってきた。頂を制するその日まで駆け続ける。

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