サッカー

特集:第67回全日本大学サッカー選手権

東洋大、初インカレで見た風景

東洋大の力は後期第14節の筑波大戦で試された

全日本大学選手権

12月12日@浦安市運動公園陸上競技場
1回戦 東洋大 2-1 環太平洋大

12月15日@浦安市運動公園陸上競技場
2回戦 関西学院大 3-2 東洋大

12月15日、悲願のタイトル獲得はかなわず、東洋大の2018年シーズンが終わった。

後期に起きた東洋大旋風

激動のシーズンだった。「最初は、チームとしてもあまりうまくいかないことが多かったです」とMF坪川潤之(3年、矢板中央)が語ったように、関東リーグ1部第1節で順大に0-4と大敗を喫すると、6戦目まで3敗3分と未勝利。第7節の明大戦で初勝利をあげるも、前期は3勝5敗3分で10位に沈んだ。「先に点を取られると前がかりになって追加点を奪われ、攻撃にパワーを注げませんでした」と古川毅監督が言うように、前期は11試合で13得点16失点とチーム全体に粘りがなかった。

後期では前期で浮き彫りになった課題を修正。第12節の東国大戦では負けたが、13節の専大戦を境に無敗街道を突き進み、連続10戦無敗で後期を終えた。結果は7勝6敗9分で7位。創部初となるインカレへ、最後の切符を手に入れた。

後期で東海大を勢いづけたのは第14節、昨シーズンのリーグ戦王者である筑波大との一戦だった。負ければ残留争いをするところまで沈む可能性もあった。試合は前半序盤に連続失点し、0-2。前期の状態であれば、さらに失点を重ねて負けていたかもしれない。しかし失点の直後、MF野本幸太(2年、市立船橋)が決めて反撃の狼煙をあげると、その直後にFW坂元達裕(4年、前橋育英)が同点ゴール。迎えた後半、MF松崎快(3年、大宮ユース)が勝ち越し弾を決めた。攻め込まれる時間帯が続いたものの、DF浦上仁騎(4年、同)を中心とした守備陣が、体を張った守備で失点を食い止めた。この試合で見せた粘り強さが、リーグ戦10戦無敗につながったと言っても過言ではない。

待ち望んだインカレ1回戦は、中国地区代表のIPU・環太平洋大が相手だった。序盤は拮抗した展開が続いたが、前半26分に松崎とのワンツーで抜け出した坂元がゴール左隅に決め、先制に成功。後半序盤に同点とされるも、42分にDF渡辺星夢(4年、前橋育英)からのクロスに途中出場のFW荒川勇気(3年、旭川実業)がヘディングで合わせ、2-1で勝利。初出場を初勝利で飾った。

2回戦は関西地区2位の関西学院大が相手で、プロ内定者を擁するチームだった。前半43分にゴール前で崩され失点。後半、風上に立つと徐々にペースをつかみ、渡辺の直接FKで同点、さらに野本が逆転ゴールを決めたが、試合終了間際に同点とされて延長へ。延長前半のPKが決勝点になり、2-3で敗北。初のインカレはベスト16で幕を下ろした。試合終了後、選手たちが応援団のもとへ向かうと、4年生一人ひとりの応援歌が歌われた。「大きな存在」「感謝の気持ちでいっぱい」と後輩から慕われていた4年生だからこその光景だった。

4年生たちの思いを引き継ぎ、松崎等の3年生が新しいチームをつくる

「インカレに出て、いい大会だなと素直に感じました」と松崎。選手たちはまた来年、この舞台に戻ってくると誓った。 しかし、群雄割拠の関東リーグ1部を相手に勝ち抜くのは至難の業だ。今年関東リーグ1部優勝を果たした早大は一昨年度、関東リーグ2部に降格していたぐらいだ。インカレに加え、夏の全国大会総理大臣杯へ。目標のタイトル獲得に向け、再び“東洋大旋風”を起こすため、チームは新たにスタートを切る。

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