そびえ立つ元気印 関学DF小林
関学に期待の大型センターバックが現れた。DF小林洵(1年、セレッソ大阪ユース)が188cmの長身を生かし、相手を圧倒。ルーキーながら物怖じせず、果敢に守り続けた。関学はこの日、桃山大に1―0で勝ち、関西学生リーグ2位でのインカレ出場が決定した。小林は「無失点で終われて、達成感を感じた」と振り返った。ピッチをから出ると、初々しい笑顔を見せた。
前節に続き、拮抗(きっこう)した試合展開。その中でもゴールを割らせなかった。危ない場面でも小林が積極的に味方をリード。浮き球にはヘディングで素早く反応し、クリアも確実だった。「無失点に抑えられたことで、勝ちきれました」。堂々たるセンターバックだった。
サッカーを始めたきっかけは母の言葉だった。幼いころは落ち着きのない子だった。そこで母に「好きなだけ走り回れるよ」と勧められ、5歳からサッカーを始めた。小学校では地元のクラブチームに所属。当時は攻撃の選手としてピッチに立っていた。「大きいチームで試合に出られたら成長できると思った」。中高の6年間はセレッソ大阪の下部組織でプレーすることを選び、フォワードとして入った。だが、とびきりの俊足ではなく、速い展開についていけなかった。中2のときにディフェンダーへの転向を決意した。
小林をディフェンダーとして大きく成長させたのは高校時代の経験だ。セレッソのプロ選手の技術を間近で見て、守備のノウハウを身につけた。また、セレッソ大阪でプレー経験のある高橋大輔コーチや、U-20日本代表のテクニカルスタッフを務めた田島一樹コーチの指導のもと、練習に励んだ。練習後も遅くまで残って自主練を重ね、コーチお手製の個人ビデオで分析。努力は実を結び、高3のときにはJ3で13試合の先発出場を経験した。
プロを目指し、関学に飛び込んできた。「関学はサッカーのレベルが高い。4年間、経験を積むにはぴったりの場所だと思った」。彼の目はすでに、卒業後を見据えている。入学直後はBチームに所属。ヘディングやビルドアップを武器に、わずか半年でAチーム昇格を果たした。「点を取らせない」という強い気持ちと、堅実なプレーを長所に開幕スタメンを勝ち取った。今シーズンは4戦に出場し、Aチームでも徐々に存在感を示している。主将のFW藤原樹(4年、市西宮)も「1年生ですけど、勢いよく前に出るプレーができるから、頼りにしてます」と小林をたたえる。
ムードメーカーとしてもチームを盛り上げる。同期のMF安羅修雅(履正社)やFW山見大登(大阪学院)ら、今年は1年生の活躍も目立つ関学。同期と切磋琢磨(せっさたくま)し合い、成長を遂げてきた関学の元気印から目が離せない。
後期リーグ戦も残すところ1試合のみ。関学の相手はリーグ優勝を決めた大体大だ。2試合連続無失点中の関学。王者相手にも守りきりたい。その中心に小林がいる。