サッカー

特集:第67回全日本大学サッカー選手権

関大の「全員サッカーで日本一」は来年へ

泣き崩れた森主に荒木(中央奥)が寄り添った

全日本大学選手権 第2日

12月15日@東京・味の素フィールド西が丘
2回戦 順天堂大(関東地区第6代表) 2-1 関西大(関西地区第3代表)

「全員サッカーで日本一」を掲げた関大サッカー部。熱く濃い1年が幕を閉じた。

 関西リーグ13位でインカレのシード権を得た関大は、2回戦が初戦となった。相手の順天堂大には昨年の準々決勝、PK戦の末に勝っている。少々因縁めいた一戦になった。

 立ち上がりは成功

ビッグネームを複数擁する順大に対し、関大はまったく引けをとらなかった。誇らしい大応援団に、4年生一人ひとりに向けたお手製の横断幕。キックオフ前の学歌斉唱では全員で肩を組み、アカペラで歌いきった。240人全員で順大を迎え撃つ準備はできていた。 

スタンドからも選手たちに力を送る

 「チームの雰囲気やメンバーは日本一を狙うにふさわしかったと思う。最高の試合の入り方ができた」とMF森主麗司(4年、清水ユース)は言う。開始4分、早すぎるチャンスが訪れた。MF塩谷仁(4年、磐田ユース)PKを獲得。しかし、相手GKがファインセーブ。好機を生かせなかったが、流れは関大に傾いていた。細かいパスワークが光り、ボールを持ってはすぐに前を向く。ボランチのMF中井英人(4年、神戸ユース)を中心にボールを散らし、サイドから攻撃を展開した。

 守備ではDF羽田健人(3年、金光大阪)と主将のDF荒木隼人(4年、広島ユース)GK安川魁(同、履正社)の冷静な対応で決定機をつくらせなかった。守備にも攻撃にも対応する塩谷と森主が無尽蔵の走りと粘りを見せ、たびたび関大スタンドが沸いた。シュート数も増え、得点への期待も高まっていた中、37分に一瞬のミスを突かれ、先制点を奪われた。

 「シュート打ってくるわ」

 DF河野貴志(4年、鵬翔)が「後半に強いチーム」と言うように、関大は逆転への自信をもって後半に臨んだ。前半からシュートに飢えていたMF牧野寛太(3年、履正社)は「シュート打ってくるわ」と後半開始前に宣言。開始30秒、自身1本目となるループシュートが相手ゴールに突き刺さり、有言実行の同点ゴールを決めた。前田雅文監督も「GKとの11が入らなくて、横切るボールも入らなくて、あのゴールが入るのか、という感じです」と話す、技ありの同点弾だった。 

後半開始早々、牧野が決めた

 後半12分、再びワンチャンスをものにされ、1−2。関大は5枚の交代カードをフルに使い、アディショナルタイムでは荒木を前線へ上げてパワープレーを試みたが、ボールを奪いきれないまま、ホイッスルが鳴った。決めきるという部分で相手が1枚上手だった。喜びをあらわに仲間と抱き合う順大を前に、関大は言葉を失った。膝に手をついて動けずにいた森主に荒木が寄り添い、肩を抱えて整列へとゆっくり進んだ。「あいつは本当にいつも、気持ちの入ったプレーしてくれた」と、荒木は4年間苦楽をともにしてきた森主をねぎらった。

 関大スタンドへ最後の挨拶。西日に照らされた荒木の目には涙が光った。「どんどんみんなの思いが伝わって、こらえきれない部分がありました」と荒木は言った。言葉でチームを導くのが苦手な荒木は、サッカーに対する真面目さとひたむきな姿勢でチームの先頭に立ってきた。「隼人を中心にみんなでやれて楽しかった」と塩谷が振り返れば、中井は「隼人を日本一のキャプテンにしよう」と意気込んでインカレに臨んだことを明かした。

 勝つか負けるか。1点に泣くか笑うか。厳しい勝負の世界で、紫紺の戦士たちは240人分の思いを背負い、4年間のすべてをサッカーに捧げた。最後の勝負には負けた。それでも4年生のチームにかける想いや愛は見るものを熱くさせ、感動させる力があった。この悔しさを糧に、一体感を武器に。関大サッカー部が走り続ける。「全員サッカーで日本一」を成し遂げられるその日まで。

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