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特集:第95回箱根駅伝

失意の青学、5連覇逃し再出発

失意の青学、5連覇逃し再出発
総合2位となったが、笑顔でゴールする鈴木

第95回箱根駅伝

1月2~3日@東京・大手町読売新聞社前~神奈川・箱根町芦ノ湖駐車場入口の10区間217.1km
青山学院大
総合2位 10時間55分50秒(新記録)
往路6位 5時間32分01秒
復路1位 5時間23分49秒(新記録)

第95回箱根駅伝は、東海大が46回目の出場にして初の総合優勝という結果で幕を閉じた。レース前、青山学院大は盤石の戦力を誇り、5連覇と史上初の「2度目の学生駅伝3冠」をほぼ手中に収めたとも見られていた。しかし東海大に3分41秒も遅れた総合2位。原晋監督はいままでとは打って変わって言葉少なだった。

誤算の往路

昨年12月13日の壮行会の時点では、原監督は「エントリーしたメンバー16人全員が走れる状態で、誰を選ぶか困るぐらい」と語っていた。しかし12月29日の区間エントリーの日、原監督は主将の森田歩希(ほまれ、4年、竜ヶ崎一)が11月末に股関節を痛め、12月は強度の高い練習ができなかったと明かした。原監督は森田をエース区間の2区では起用しないと明言した。

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区間新記録の走りでチームをトップに押し上げた森田(撮影・松永早弥香)

当日変更で森田は3区に入った。1区の橋詰大慧(4年、和歌山北)がトップと6秒差の3位で襷(たすき)をつなぐが、森田の代わりに2区を任された梶谷瑠哉(4年、白鴎大足利)はペースが上がらず、区間10位。トップとの差を59秒と広げられてしまった。だが、森田は圧巻の走りを披露した。故障明けとは思えない躍動感で、1時間1分26秒の区間新記録を叩き出し、チームをトップに押し上げた。「結局、今年も青学か」。そんな雰囲気が漂った。

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「昨年のリベンジをしたい」と語っていた竹石だったが……

しかし、いい流れは続かない。三大駅伝初出場の岩見秀哉(2年、須磨学園)は4区で区間15位に沈み、続く5区の竹石尚人(3年、鶴崎工)も前回より2分以上も遅い1時間14分52秒で区間13位どまり。往路は6位でフィニッシュした。トップの東洋大に5分30秒も離され、総合5連覇に暗雲がたれこめた。

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笑顔なく、竹石を出迎えた森田

圧巻の復路

そして復路。青学大逆転のキーマンとなった小野田勇次(4年、豊川)が激走。4年連続の6区を前人未到の57分台で走りきった。57分57秒の区間新記録を打ち立てた。

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昨年は東洋大の今西に「人間じゃねえ」と言わしめた小野田(撮影・佐伯航平)

小野田は言った。「上りはある程度抑えました。そしたら抑えすぎて、離されてしまったり追いつかれたりと、キツいレース展開になってしまいました。でも、下りはしっかり自分の走りができたと思います。東洋の今西くん、東海の中島くんと区間賞争いをしてて、その2校には絶対に勝たないといけなかったので、ラスト3kmは必死でした。その結果として57分台が出たと思います。自分のところでもっと詰めれたらよかったんですけど、ほかも強かったので……」と語った。その言葉通り、東洋大の今西駿介(3年、小林)が58分12秒、東海大の中島怜利(3年、倉敷)も58分6秒の好タイムで走り、差はそれほど縮まらなかった。

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吉田は今年大学三大駅伝デビューながら、すべてで区間賞を獲得し「個人三冠」を達成した(撮影・藤井みさ)

7区を走った林奎介(4年、柏日体)は、前回自らが打ち立てた区間記録にあと2秒と迫る1時間2分18秒の快走。続く8区の飯田貴之(1年、八千代松陰)も区間2位と好走し、先行する東海大、東洋大をじわじわと追い詰めた。9区の吉田圭太(2年、世羅)は初の箱根で区間賞を獲得。襷渡しの時点で2位の東洋大まで8秒と迫った。しかし追撃もここまで。10区鈴木塁人(たかと、3年、流経大柏)も区間2位の走りで2位に浮上したが、東海大との差が大きすぎた。

復路は新記録で優勝ながら総合2位。ゴール後の報告会で、涙を流す選手の姿も見られた。

「現状維持は退化」

レース後、取材エリアに現れた原監督は、箱根前とは別人のように歯切れが悪く、言葉少なだった。「12月の記者会見で『万全の状態』ということでしたが」と水を向けると、「陸上長距離は精密機械だからね」との言葉が返ってきた。「箱根駅伝はとくに大学スポーツの中でも難しくて、選手、コーチ、主務、寮母、それからファン、大学関係者。すべてが複雑に絡みあってるんですよ」と。「今回はそこにボタンの掛け違いがあったのですか」と質問を重ねると、あえて明言を避け、自分に言い聞かせるように語り始めた。

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往路を終え、厳しい表情の原監督

「現状維持は退化だということですよ。常に進化していかないといけない。年とともに忘れてきがちになっちゃうけど、『しつこく』『こだわる』ということを改めて徹底しないといけないと感じました。いま思い返せば、『去年と比べてどう』っていう基準で考えてたことが多くなってた気がするなあと。選手が2位で悔しいと言っているのはいいことで、糧にできる負けだと思う」。そしてこう続けた。「復路速かったでしょ? 本当はうちも総合10時間45分台を狙えると思ってたんだけどなあ。東海さんも東洋さんも、6区がめちゃくちゃ速かったし、大学スポーツ全体のレベルがどんどん上がってるんですよ。今日は話すほどに悔しさがこみ上げてくるし、全部愚痴になっちゃう。今日は飲んで帰ります! 」

原監督は、そう言って取材を切り上げた。再出発する青学がどんな進化を見せるのか、楽しみに待ちたい。

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