スケート

東洋大の3人、それぞれの4years.

東洋大の3人、それぞれの4years.
演技に向かう濱谷をみんなが笑顔で送り出した

第91回日本学生氷上競技選手権日光大会

1月7日@栃木県立日光霧降スケートセンター

フィギュア部門女子7、8級 15位 濱谷佐理(東洋大) 136.47
       女子6級 15位 小林納々(同) 56.11
       女子5級 6位 山田杏嘉(同) 43.24

フィニッシュポーズをとると、大歓声が起こった。東洋大の濱谷佐理(はまや・さり、4年、富士見丘)は両手で顔を覆った。その後に広がったのは晴れやかな笑みだった。

インカレは多くの4年生にとって引退試合となった。東洋大からは3人。女子5級の山田杏嘉(きょうか、4年、文京学院女子)、女子6級の小林納々(のの、4年、山村国際)、そして2年間主将を務めた7、8級の濱谷。いずれも自分の力を出しきった演技で締めた。

山田、小林、濱谷、最後は笑顔で

まずは山田。フリップ、トウループとジャンプをきれいに決め、いい流れをつくった。これまで詰めの甘かったスピンも、丁寧にまとめて滑りきった。最後のジャンプにミスはあったが、完成度の高まった演技だった。「初めて練習以上のことができました」。自己評価は80点で、6位入賞を果たした。

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心を込めた演技を披露した山田

小林は「自分のやりたい曲だし、思い入れがありました」という「Nのために」に乗って滑り出した。公式練習では調子が上がらなかったが、最後の本番では体がよく動いた。1度だけジャンプで転倒したが、終始伸びやかに滑り終える。小林は大きな歓声で背中を押してくれた仲間たちに、会心の笑みを届けた。

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小林は「Nのために」の曲で最後の演技に向かった

濱谷はひときわ大きな歓声の中で登場。1年生のときから最上級クラスの女子7、8級で演技してきた。昨年のインカレは出場権をつかめなかったが、「次の試合でベストが出せて、壁を打ち破れたのは一番の思い出」と、いい思い出にしていた。最後のインカレではフリースケーティングで「ロミオとジュリエット」の曲を選んだ。監獄に捕らわれたジュリエットが、運命に翻弄されながら、思いを貫こうとする。そんな強さと美しさの表現が求められる曲だ。2年にわたって部を引っ張ってきた主将にぴったり。後半はロミオを思うせつなさを全身で表現し、観衆を魅了するスケーティングを披露。17年間のスケート人生を締めくくった。

仲間のために頑張りたいと思える集団

濱谷の演技終了後にはリンクの出入り口に部員や仲間が集結。人望の厚さがうかがえた。個人競技であるフィギュアスケートだが、東洋大の応援は群を抜いてにぎやかだ。その応援を誰よりも必死でやってきたのが濱谷だった。男子7、8級で20位だった鶴田翔真(1年、開志学園)が「男前!!」と表現するほどの声かけは、たったひとりリンクで演技する部員たちに力を与え続けた。

男子7、8級で15位だった菅原生成(きなり、2年、開志学園)は「佐理さんがいなかったらスケートをしてませんでした」と話し、落ち込んでいたときに濱谷が支えてくれたことを明かした。菅原は大泣きしながら、濱谷から託された「部員のために頑張りたいと思えるフィギュアスケート部のさらなる発展」を誓った。濱谷が主将としてやってきたこと、部にもたらしたものは、次の世代に引き継がれていくだろう。

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濱谷は力強い演技で会場を魅了した

「いまは分からないかもしれないけど、この部活に入れたのは幸せなことだよ」と、濱谷は後輩たちに伝える。山田は切磋琢磨できた環境に感謝を述べ、小林は「後悔しないように過ごしてほしい」と、後輩たちに最後の言葉を贈った。後輩への期待と東洋大学フィギュアスケート部だからこそ得られたものを胸に、彼女たちはそれぞれの4years.を終えた。

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