フィギュアスケート

関大・安原、自分らしくやり抜いたスケート人生

インカレでは心からの笑顔があふれた

第91回日本学生氷上競技選手権日光大会

1月7日@栃木県立日光霧降スケートセンター
フィギュア部門女子7、8級 8位 安原綾菜(関西大) 147.93

前日のショートプログラムは、すべてのジャンプで着氷に成功した。関大の安原綾菜(4年、光泉)は会心の演技に「のびのび滑れました。明日はいままで練習してきたことをしっかりと出して、自分らしい演技がしたいです」と話していた。そして迎えたフリースケーティング。ひときわ大きな声援を受け、安原は凛とした表情でリンクインした。ジャンプのミスはあったが、大きなミスはなし。美しく華麗に「エリザベート」を演じきった。インカレという大舞台で、心からスケートを楽しんでいるように見えた。

長いスランプも「途中でやめたくはない」

安原は2歳上の姉の影響で、6歳のときにフィギュアを始めた。姉に対してライバル心を燃やしたことはない、「一緒にやってたから心強くて、練習も楽しみながらしてました。いまも結構支えてくれてて、よく試合前に相談します」。姉は安原にとってかけがえのない存在だ。

姉は高校を最後に競技をやめ、安原は大学でも続けた。順風満帆な滑り出しだったが、2回生の途中から3回生にかけてスランプに陥った。どれだけ練習してもジャンプが跳べない。もちろん試合でも思うような演技ができなかった。幼いころから大好きだったスケートから、心が離れかけた。「毎日のように、やめたいと思ってました。スケートをする意味があるのかな、って」。不調に悩む日々が続いたが、それでも安原はやめなかった。「途中でやめるのは絶対にしたくなくて、4回生までは絶対続けるという目標を立てました」。粘り強く、毎日必死に練習した。

スランプをのり越え、ラストシーズンに飛躍

学生ラストとなる今シーズン。「結果にこだわらず、見てくれる人が感動するような演技をしよう、って。そこから意識が変わったかもしれません」。気持ちの切り替えができた安原は、長いスランプから脱した。充実した練習ができるようになり、少しずつその成果が結果に出始めた。

初戦から安定した滑りを披露。11月の西日本学生選手権では完璧な演技で、滑り終えた直後に思わずガッツポーズ。フリーでの100点超えも達成し、自己ベストも更新した。「(100点を超えるのは)遠い目標だと思ってました。頑張ってきてよかったです」。苦しくて、苦しくて何度も挫折しかけた時期を乗り越えた。いまの自分について尋ねると「精神的に強くなったと思います。自信を持って滑れるようになりました」と、笑顔で返した。

歌詞に自分を重ね合わせて

インカレのフリーに選曲した「エリザベート」は、以前から引退の年に使うと決めていた。母に勧められて、気に入った曲だ。「自分らしく生きる、という歌詞がすごく好きなんです。いまの自分と少し重なってるかな、って思ってます」。幼いころから担当してもらってきた宮本賢二氏に、最後の振り付けを依頼。歌詞の意味をしっかりとくみとり、動きの一つひとつに思いを込めて演技した。「いままでで一番好きなプログラム。自分のスケート人生の集大成を詰めこんだ作品です」。考え抜いてつくったプログラムは、ずっと心にあったスケートの楽しさを思い出させてくれた。

国体でスケート人生の集大成を見せる

最後の学生大会を終え、残す試合は国体だけ。ミスのない完璧な演技がしたいという気持ちはもちろんある。それ以上に「16年間スケートを続けてきて学んできたことを出せるように。いままで支えてくださった人たちに感謝の気持ちを伝えたい」との思いが強い。幼いころから、人の心を動かす滑りを目指してきた。最後の舞台で自分らしい「エリザベート」を精一杯演じる。悔いなく笑顔でスケート人生の幕を閉じるために。

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