フィギュアスケート

明大・大矢里佳、「失敗できない」からの脱却

大矢は新たな環境を求め、中京大学中京高から明大へ進んだ

第91回日本学生氷上競技選手権日光大会フィギュア部門

1月7日@栃木県立日光霧降スケートセンター
女子7、8級クラス  3位 大矢里佳(明治大) 168.71

明治大の大矢里佳(2年、中京大中京)は、最終滑走者としてリンクに立った。「ムーランルージュ」の曲調に合わせて観衆を魅了し、インカレという大舞台で自己ベストを更新。昨年の9位から3位へジャンプアップし、表彰台に立った。

萎縮していた高校時代

大矢は高校時代、名門・中京大中京で史上初のインターハイ団体7連覇を経験した。しかし個人では思うような成績を残せず、新たな競技環境を求めて明大へ進学した。東京に来てからは、苦手だったスケーティングの改善に取り組んだ。長時間にわたってコーチの指導を受けられるようになり、細かい部分まで修正できた。スケーティングを強化することで、持ち味である力強いジャンプも安定してきた。

大矢は高校時代の自分について「ジャンプを失敗したくない気持ちが強かったです」と振り返る。名門の看板を背負って滑るプレッシャーから結果に捉われてしまうことが多かった。しかし大学では「引退まで残り4年しかない」と考え、日々の練習から滑る楽しさを意識するようになった。

スケーティングの向上がジャンプの安定にもつながっている

気負いがなくなり、試合の本番で練習通りの滑りができるようになった。「明治は団結力がすごいので気合いが入ります」と大矢。学生の大会ならではの大きな声援と明大のアットホームな雰囲気が、大矢の背中を押してくれた。ジャンプやスケーティングの向上よりもスケートを楽しめるようになれたことが、いまの大矢の一番の強みなのかもしれない。

飛躍のため、大技に挑戦

今シーズンは調子こそよかったものの、全日本選手権には出られなかった。来シーズンは3回転ー3回転という難易度の高いコンビネーションジャンプに挑む。「まだ、できるビジョンが見えてないです」。2本目のトゥループに苦戦している。全日本選手権15位以内という目標のため、大技に挑戦する。

大矢(右)はインカレで初の表彰台に立った

「ファンの人たちの心に残るような選手になる」。大矢が2年後に引退するまでの目標だ。滑ることを楽しんだうえで美しい演技を披露し、大矢里佳の演技を観る人たちの心に刻み続ける。

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