フィギュアスケート

同志社フィギュアの絆 友野一希はインカレ出場を決めた

全日本選手権4位の友野には優勝の期待がかかっていた

第91回日本学生氷上競技選手権日光大会

1月7日@栃木県立日光霧降スケートセンター

フィギュア部門男子7、8級 2位 友野一希(同志社大) 232.77
                    男子7、8級 6位 笹原景一朗(同) 181.26
                    男子7、8級団体 2位 同志社大 60

「景ちゃん、ガンバ!!」。観客席からの声が同志社大4年、笹原景一朗(追手門学院大手前)の背中を押した。20年間続けてきたフィギュアスケートに終止符を打つと決めた笹原の最後のインカレが始まった。

最後のインカレ、笑顔の笹原

ショートプログラム(SP)では連続ジャンプは乱れたが、その後のジャンプはすべて決め、安定感を見せつけた。ピアノの旋律に合わせた繊細な滑りは、多くの人に「もっと見ていたい」と感じさせたことだろう。そしてフリースケーティング(FS)では一転、静けさの中で情熱を表現した。冒頭の3回転ルッツで転倒したが、その後は意地の滑り。壮大なコレオは1.83という高い評価を得た。演技後にはチームメイトに「ごめん」のしぐさ。本人は満足いかなかったようだが、その演技からは心からスケートを楽しんでいるのが伝わってきた。そんな笹原の笑顔は、みんなの心に深く刻まれた。

笹原の演技からはスケートを心から楽しんでいる様子が見てとれた

同志社勢では友野一希(2年、浪速)が最後の滑走だった。チームメイトとハイタッチを交わし、リンクの中央に立った。数々の世界の舞台も経験している友野。会場の空気が一瞬で変わり、みなが固唾を飲んで彼を見つめた。昨年12月の全日本選手権では転倒した4回転サルコーで着氷すると、その後のジャンプも軽やかに決めた。緩急をつけたステップで、曲のテーマである「愛」を表現。最後のスピンでは綻びが出たが、「全体的にポジティブな印象」と友野は話し、1位でSPを終えた。

友野のFSには気迫がにじんだ

優勝が期待された中で迎えたFS。冒頭の連続ジャンプは決めたが、単独の4回転サルコーで転倒。それでもリンクサイドの大声援は変わらない。その後はすべてのジャンプを着氷した。ステップからは気迫がにじみ出て、世界で戦う男の底力を見せつけた。演技後に友野が口にした「本番で決める力の大切さを痛感しました」との言葉には、プレッシャーのかかる舞台を経験してきたからこその重みがあった。

チームのため、戦い抜いた

「インカレは大好きな試合」。笹原と友野は口をそろえる。最大の魅力は、チームメイトからの大声援があることだ。「大きな試合も経験してますけど、仲間との絆も大切にしたいんです」と友野は言う。国際試合を控えている友野がインカレ出場を決めた理由も、そこにあった。笹原は演技の前に「僕のわがままですけど、最後のインカレで優勝して終わりたい」と話していた。同志社は団体優勝の最有力候補だったこともあり、4回生の笹原には優勝への並々ならぬ思いがあった。それぞれがチームのために戦い抜いたからこそ、2位にとどまった悔しさも大きかった。「チームに申し訳ない」。演技を終えた二人の第一声だった。

左から時國、友野、笹原。同志社は団体で1ポイント差の2位だった

今回は悔しい結果に終わった。しかし、会場には同志社の絆が確かに存在していた。主将としてチームをけん引する者、世界のレベルに追いつき追い越そうとする者、そして、競技生活に別れを告げる者……。それぞれの思いが交差したインカレが、また同志社を強くした。

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