特集:体育会学生の就活術

就活専門家に聞く 体育会学生の内定術(自己PR編)

のべ5万人の学生のキャリア支援にあたってきた篠原さん

「体育会系の学生は就職活動に強い」と信じている大学生アスリートのみなさん。それって本当なんでしょうか? キャリアコンサルタントの国家資格を持つ朝日新聞社就活キャリアアドバイザーの篠原真喜子さんに聞いてみました。体育会系学生の強みや、内定に至る「戦い方」についても語ってもらいましたよ。前編は自己PRのポイントまで。さて、体育会系のみなさんが陥りがちな落とし穴とは――。

――体育会の部活で頑張ってきた学生は就職活動にも強いイメージがありますが、実際のところはどうなんでしょうか。

残念ながらひと昔前と比べると、一概に有利とは言えなくなってきてます。かつて体育会の採用枠があった企業にも、そうした枠を廃止した社があると聞いています。

――なぜ、そうした傾向が出てきているのでしょうか。

従来の体育会学生のイメージは、一般的には体力や根性があり、目上の人への礼儀をわきまえている、というようなことだったと思います。

こうした属性は、長時間休まず働いたり、取引先とお酒を飲んで仲よくなったりすれば営業成績が上げられた時代なら、重宝されたかもしれません。でもいまは、よりスマートに戦略を立てて働き、自分の知識を日々アップデートできる人材が求められます。単に体育会出身というだけでは、企業は評価しなくなっているんです。

ただ、部活動に打ち込んだ経験自体は得がたいものですし、就活でも強みになるのは間違いありません。それを有利に持っていけるかどうかは、本人次第です。

――具体的にはどのようなことに気をつければ、体育会の経歴を強みにできるでしょうか。

ありがちな間違いは、競技での実績ばかりをアピールしてしまうことです。企業側は選手としての実力を評価して採用するわけではありません。

むしろ、結果を出すまでにどんな困難や苦労があって、どのように乗り越えたか。その経験を仕事でどう生かせると考えているかをアピールするほうが、採用担当者には響きます。

――選手として強かったかどうかと、就職活動の結果は関係ないんですか。

ほぼ関係ないと考えたほうがいいです。たとえば、私の知っている野球部出身の学生は4年間ずっとベンチにも入れなかった。でも、彼はそんな立場だからこそ、ほかの選手がうまくいかなかったときにどう言葉をかけるか、チーム全体をどう鼓舞するかを考え抜いたんです。そうした経験をアピールすることで、見事に志望企業の内定を勝ちとりました。

社会に出てからは、うまくいかないことや理不尽なことの方が多いものです。そうした困難に対処できる人材のほうが、勝ち続けてきた人より評価されることもあるのです。試合に勝てなかったことや、レギュラーでなかったことをコンプレックスにする必要はありません。下積みの経験を武器にして面接に臨みましょう。

――自己アピールも工夫次第なんですね。

はい。体育会の学生さんはせっかくすばらしい経験をしてきたのに、それをうまく言葉にしてアピールするのが苦手な方が多いと感じます。

たとえば、ES(エントリーシート)の自己PRの欄で「部活でチームワークが身につきました」というような、ありきたりな表現をしてしまう例を目にするんですが、これでは、ほかの体育会学生のESと差別化できません。採用担当者に「またか」と思われてしまいます。

たとえばチームワークを育むために自分がどんな行動をしてきたのか、「部員一人ひとりの意見を聞いて、個々の選手がもっとも活躍できるポジションを考えた」など、なるべく具体的に表現する必要があります。

――文章やスピーチなどに苦手意識がある学生はどうすればいいですか。

表現力は誰でも努力で伸ばせます。内定を勝ちとった学生たちも、最初からうまく表現できたわけではありません。ESはなるべく早いうちから先輩や友人に見てもらって、読んだ側に自分の思いが伝わるようにブラッシュアップしていきましょう。

(後編へ続く)

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