特集:体育会学生の就活術

就活専門家に聞く 体育会学生の内定術(部活との両立編)

文中の野球部女子マネージャーが、就活の遅れを取り戻すために取り組んでいたスクラップノート、企業研究ノート、スケジュール帳

大学生アスリートのみなさんは練習や試合の合間に面接や説明会に臨まなければなりません。キツいスケジュールを乗り切るには、どうすればいいのでしょうか。「自己PR編」に続き、キャリアコンサルタントの国家資格を持つ朝日新聞社就活キャリアアドバイザーの篠原真喜子さんに聞きました。

――体育会学生の大きな悩みとしては、就職活動と部活の両立があります。練習や試合が続く中、就活に費やせる時間は短い。どうすれば乗り切れるのでしょうか。

確かにそうした悩みはよく聞きます。一つの対処法としては、時間がないからこそスタートを早くすることです。とくに、いまの就職活動は3年生の夏のインターンがとても重要で、実質的にはここから選別が始まっていると考えたほうがいいんです。

長期間のインターン参加が難しくても、1日、半日といった短期間でも参加して、早いうちから企業との接点をつくっておくべきです。自分の取り組む競技以外の体育会学生や、ほかの大学の学生たちとも接することになるでしょうから、そこでまた刺激を受けることもあるでしょう。

――実際には、周囲が練習に専念する中で一人だけ就職活動に時間を割くのが難しいなどと悩む学生も多いようです。

それでも、内定を勝ちとれる学生ほど、うまく自分のスケジュールを管理して、部活も手を抜かず頑張っている印象があります。

たとえばホッケー部のある女子学生は、3年生の夏に志望する大手放送局の3日間のインターンに参加したくて、練習を休む必要がありました。周囲はまだ就活ムードになってなくて、休みたいと言い出しにくかったそうなんですが、彼女は勇気を出して仲間たちにそのことを話しました。

それがきっかけになって部活内でミーティングが重ねられ、事前に申請すれば練習を休んでインターンなどを優先できる「就活ルール」ができました。きちんとルールをつくれば、ほかの部員にもメリットになりますからね。

――自分が就活するための環境を、自分でつくるということですね。

はい。ほかにも「試合の日は試合優先、通常の練習日は説明会への参加を優先」というふうに、「マイルール」を決めてスケジュール管理をしたという話はよく聞きます。

また、試合会場への移動中にES(エントリーシート)を書いたり、面接の練習をしたりと、みなさん工夫しています。こうした「セルフマネジメント力」は、社会に出ても必要な能力です。すでにそれができていること自体が、就活でのアピールポイントになります。

――それでも企業説明会に参加する回数なんかは、どうしても少なくなりますよね。

それも工夫次第でむしろプラスに変えられます。野球部のある女子マネージャーは部活が忙しくて説明会にほとんど参加できなかったんですが、新聞を丹念に読んで、志望する企業や業界について綿密に研究しました。

説明会では企業の「いい面」ばかりがアピールされがちですが、新聞を読むことでプラス面とマイナス面の両方を知ることができ、そのことを面接でアピールしたら、いい評価をしてもらえたそうです。デメリットが強みになった例ですね。

説明会に行けないかわりに、体育会の人脈を利用してOB、OG訪問を頑張るという選択肢もあります。説明会では出てこないような現場レベルの具体的な話も聞けるできるでしょうから、かえって有利になる可能性もあります。

――最後に、就職活動に臨む体育会学生たちにメッセージをお願いします。

大学での4年間を部活に打ち込んだり、あるいはもっと長い間、一つのことに懸命に取り組んできたりしたことは素晴らしいことです。そこにはぜひ、自信をもっていただきたいです。これまでのご自身の活動を振り返って、そこからどんなことを学び身につけたのか、それを通してどんな社会人になりたいのかなどを、深く掘り下げてみてください。そして、それを言葉にしてみてください。 

短い面接の時間内で、自分のことを面接官に伝え、プラスの評価をしてもらうのは簡単ではありません。でも、これまで培ってきた経験と努力をつぎ込めば、きっとできるはずです。就活が一気に動き出す3月は部活の代替わりの時期とも重なって、みなさん大変だと思いますが、いま頑張っている一つひとつのことは絶対ムダにはなりません。
自分を信じて、就活を楽しんでください。

体育会学生には早めの就活スタートを勧める篠原さん

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後日、4years.サイトで採録記事を公開いたします。

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