大学陸上・駅伝

特集:第30回ユニバーシアード

強すぎる東洋大・相澤晃、思いのまま学生ハーフV

相澤は始終、自分のペースでレースを駆け抜けた(撮影・藤井みさ)

第22回日本学生ハーフマラソン選手権

3月10日@東京・立川
優勝 相澤晃(東洋大3年、学法石川) 1時間1分45秒

相澤の躍進が止まらない。箱根駅伝では4区の区間記録を1分27秒も更新し、藤田敦史(駒大、現駒大コーチ)が持っていた参考記録扱いの「事実上の区間記録」さえも2秒更新した。1月20日の都道府県男子駅伝では、区間賞の走りで福島県の初優勝のゴールテープを切った。そしてこの日の学生ハーフマラソンでも、1時間1分45秒の自己ベストで優勝。7月にイタリア・ナポリで開催されるユニバーシアードのハーフ代表に内定した。

相澤ペース

「最初の10kmは思ってたペースよりも遅かったんですけど、それ以降は自分のリズムで仕掛けられたので、プラン通りのレースでした」。レース後に相澤が話した通り、このレースは相澤が“支配”した。

コースは高低差15m以内とほぼフラットではあるが、後半には緩やかなアップダウンが続く。相澤は2年前の1年生のときに出場し、かなり苦しめられた。1時間3分33秒で14位。今回の出場に向け、後半のアップダウンのための練習を重ねてきた。

5km地点から相澤(25番)は動き出した(撮影・大島佑介)

レース前、東洋大の酒井俊幸監督は「あまり前で引っ張らなくていい。5kmぐらいまでは抑えてていいよ」と、新キャプテンの相澤に声をかけていた。スタートすると、30~40人ぐらいの大きな先頭集団を國學院大3年の浦野雄平(富山商)が引っ張る展開になった。相澤は浦野が見える、5番手ぐらいの位置につけた。そして監督との約束を守り、5kmを過ぎると一気に前へ。先頭を走りながらも後続ランナーの表情や息づかいをうかがい、キツそうな顔を見るとペースを上げ、逆に自分がキツくなったらペースを落とした。そんな相澤のペースに揺さぶられ、一人また二人と、先頭集団から脱落する選手が出てきた。

自分のペースで走れた相澤は、15kmの時点でも余裕があったという。前回苦戦させられたアップダウンも乗り越え、早めのスパートで勝負を決めた。「自分はフロントで走るのが持ち味なので、そういう意味では東洋大らしい攻めたレースでした」。これからの東洋大を担う男としての自信をのぞかせた。

記録は狙っていなかったものの、1時間1分45秒の自己ベストをたたき出した(撮影・藤井みさ)

最後は2区で区間新を

相澤は「記録は気にしてませんでした」と振り返ったが、終わってみれば今年2月3日の丸亀ハーフマラソンで青山学院大3年の鈴木塁人(たかと、流経大柏)が出した2018年度日本人学生3位のタイムと同じだった。この日のコースの方が難しいだけに、価値がある。ユニバーシアードのハーフマラソン日本代表の座を手にした相澤は、世界の舞台でも頂点を目指す。「ナポリはここ数年のユニバーシアードの中でも、いちばんいい場所だと思うので、しっかり金メダルをとって、終わったら観光したり、ピザを食べたりしたいです」と笑った。

そんな相澤にとって学法石川高校の同期で明治大3年の阿部弘輝は大きな存在であり、阿部は4月にドーハで開催されるアジア選手権で10000m代表に決まっている。ふたりはともに福島県須賀川市の出身であり、お互いの中学校に陸上部がなかったため、須賀川市を拠点とする「円谷ランナーズ」で一緒に走っていた。「中学生のときから競い合ってきたライバルなので、負けたくない気持ちは強いですし、今度は自分が春先に10000mで27分台を出します。阿部の記録(27分56秒45)を抜いて、学生トップの記録を出します」と、力強く語った。

レース直後、相澤(左)は酒井監督(右)から「しっかり勝ち切れてよかった」と声をかけられた(撮影・大島佑介)

「東京オリンピックまでは10000mで勝負したい」と話す相澤は、学生ラストイヤーで明確な目標を掲げている。10000mで27分台、日本選手権10000mで表彰台。最後の箱根駅伝は2区で区間賞と日本人最高記録、そして箱根駅伝総合優勝。そう明言する相澤に、強い覚悟を感じざるを得ない。東洋大のエースとして着実に積み重ねてきた実績を自信に、そしてパワーにして、相澤はもっともっと上を目指す。

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