明大バレー、1年生安井の躍動で連敗スタート免れる
明治大学バレー部は昨年度のインカレで3位に輝いた。今年度のチームにはその主力が多く残っている。ファンやOBからの注目度は高く、「このメンバーなら全勝できる」との見方さえあった。しかし関東1部の初戦はフルセットの末、駒澤大に敗戦。続く日大戦もフルセット勝負に。なんとか勝利したが、思わぬ苦戦を強いられた。苦しみ抜いたチームにあって、ひときわ強い存在感を放ったのが、ルーキーの安井恒介(市立尼崎)だった。
心身とも追い込まれた仲間を救った
日大戦の第5セット。連日のフルセット勝負で、選手たちは心身ともに追いこまれていた。「とりあえず高くボールを上げてもらえれば打ちます」。安井は疲労で足がつりそうだったセッターの上林直澄(3年、東亜学園)にこう伝えた。安井の最高到達点はチームトップの346cm。大学バレー界でも屈指のジャンプ力を持ち、高さには自信があった。加えて、明大では珍しいパワー型。ミドルブロッカーながらバックアタックも得意とし、サイドも練習していた。
1年生だろうと、全力を尽くせば通用しないわけではない。安井はそう信じながら「明大のエースは俺だ」と言わんばかりにコートを駆け回り、得点を重ねた。日大戦では、得点源の三輪大将(2年、高川学園)が体調不良で欠場。安井にはある思いが芽生えていた。「三輪さんがいないから勝てない、と周りに思わせたらダメ」。その強い思いが安井を突き動かし、チームの今シーズン初勝利をたぐり寄せた。
安井の行動には謙虚さがうかがえる。試合中、コート内で味方とコミュニケーションを図る一方、ベンチに戻れば、自分からマネージャーの陸川航(3年、近江)にアドバイスを求めた。「攻撃は通用しても、ブロックはまだまだなので」と安井。新人賞の期待がかかる男は現状に満足せず、さらなる高みを目指す。