野球

ルーキーも4年生も本領発揮、東洋大が勝ち点

中大との再試合で力投したルーキーの渡邊

東都大学リーグ1部 第1週

4月9、11日@神宮球場
1回戦 東洋大 5-2 中央大、2回戦 東洋大 6-5 中央大

今シーズンから1日3試合制を導入した東都1部の開幕日。東洋大は中央大との第3試合に臨んだ。1回表、小川翔平(3年、霞ヶ浦)の本塁打で先制したが、雨天ノーゲーム。小川の一発は幻となり、観客からは「もったいない」「かわいそうに」との声が漏れた。当の小川は「記録より記憶に残りましたね」と笑って球場を去った。

オープン戦から好調なルーキー

再試合の先発を任されたのはルーキーで左の渡邊友哉。兵庫県の報徳学園高校で背番号1をつけていた。東洋大に入った理由をたずねると、「すごい先輩たちがいたので。4年生になったときを考えて選びました」。先輩たちとはもちろん、昨秋のプロ野球ドラフト会議をわかせた梅津晃大(中日ドラゴンズ)、甲斐野央(福岡ソフトバンクホークス)、上茶谷大河(横浜DeNA)の3投手だ。

渡邊のデビュー登板は巧みだった。好打者がそろう東都では三振の山を築くことは難しい。それでも渡邊は要所を締め、1点に抑えた。オープン戦から調子がよく、3月には六大学の立教大を相手に好投。シーズン前からのいい流れを、そのまま本番につなげた。

打線をけん引したのは6番指名打者の山﨑基輝(3年、愛工大名電)だ。春先から鋭い打球を飛ばしてアピールし、この試合でメンバー入りした。山﨑には忘れられない出来事がある。亜細亜大と相まみえた昨秋のリーグ最終戦。山﨑は好機で代打に送られた。しかし、亜大の中村稔弥(18年度卒、千葉ロッテマリーンズ)を攻略できず三振。「チャンスに弱い自分とは、ここで決別しよう。次に神宮に戻ってきたときは、俺のバットで試合を決める」と誓って、ひと冬を過ごした。

再び戻ってきた神宮で、山﨑の思いが花開いた。タイムリーヒットでチームの勝利に貢献。「あれだけ練習したから、打てると思って打席に入りました」。こう振り返る山﨑の表情は自信に満ちていた。

「ミスター東洋」の同点弾

天候に恵まれず、中1日を挟んで迎えた対中大2回戦。東洋大の先発マウンドに上がった山内響(2年、東洋大姫路)は1回にいきなり2失点。2回に走者を出した時点で降板となった。その後は野木海翔(4年、九州国際大付)、松澤海渡(1年、帝京)とつなぎ、反撃を待つ。4-5の1点ビハインドで迎えた7回裏、ついにその瞬間が訪れた。1番ライトの山田知輝(4年、桐生一)はこの回、寮の同部屋で後輩の松本渉(1年、龍谷大平安)が見逃し三振で倒れた後に打席に入った。「打った瞬間、いったと思いました」。ソロ本塁打。山田は喜びをかみしめるように、ゆっくりとダイヤモンドを一周した。

主砲の山田が本塁打を放った

山田は今シーズン、「ミスター東洋」がつける8番を背負っている。前任は中川圭太(オリックス・バッファローズ)、その前は笹川晃平(東京ガス)と、歴代の強打者がつけてきた。今春のオープン戦で放った本塁打はチーム最多の5本。それでも山田は自分を戒めるように言う。「オープン戦だけではダメ。神宮で打たないと」。自信を持って臨んだ大学最後の春季リーグ戦。同点の一発に満面の笑みを浮かべ、「素直にうれしいです」と言った。

8回には山田が押し出しの死球を受け、東洋大が勝ち越した。そして最終回のマウンドには、1回戦でも9回に登板し、三者連続三振を奪った河北将太(1年、浦和学院)が立った。「結果的にクローザーになってますね。完全に言い渡されたわけではないんですけど、いまは全力で投げるだけです」。河北はマウンド上で思い切りよく腕を振り、三者凡退。脱げた帽子を気にせずガッポーズした。

三者凡退に抑えてガッツボーズした河北

開幕前、東洋大の面々は「中大戦が山場。(勝ち点を)取れれば、勢いで優勝の可能性もある。落とせばその逆もある」と、このカードの重要さを心得て臨んでいた。残り4カード、勢いに乗った重量打線は止まらない。

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