3000m障害だけじゃない、東洋大・小室翼が狙う箱根
残り2周。東洋大の小室翼(4年、仙台育英)がトップで入っていった。「そこまでペースが上がってなかったので、意外と余裕あるな、って思いました。だから、残り2周でいったんですけどね……。最後から二つ目の水壕のところでだいぶダメージがきちゃって。ラスト1周もトップで入りましたけど、予想以上に足が動きませんでした。そこがまだ、自分の課題なのかなと。それを学べたので、きょうは収穫のあるレースだったと思います」。最後の1周で4人に抜かれて5位。その結果を、小室は真摯に受け止めていた。
大学で3000m障害に開眼
仙台育英高2年のときに、5度ほど3000m障害のレースに出た。最後が東北大会の決勝。スタート直後、50m付近で前の走者と足が絡まり、転倒。危ないからと、ずっとやっていなかった。
学生三大駅伝、とくに箱根駅伝を走りたくて東洋大へやってきた。
デビュー戦として、入学直後に「関東私学六大学対校選手権」がある。コーチから言われた。「高校のとき、障害もやってたろ。出てみないか?」と。出たら、自己ベストを25秒も更新。そこから3000m障害に関してはトントン拍子。日本選手権は8位、6位、8位ときた。「最後の日本選手権は、何とか表彰台に立ちたいです。今日のレースが自分の中では内容的によかったので、関東インカレ、日本選手権につなげていきたいです」
一方で、そもそもの目標だった学生三大駅伝は一度も走れずに4年生になった。今年の箱根駅伝は16人のエントリーメンバー入りはしたが、晴れ舞台を駆ける10人には入れなかった。「あと一歩のところかなと思います。走るだけじゃなく、優勝に貢献できるように、もっと力をつけていきたいです」。キリッとした顔で言った。
箱根で優勝のゴールテープを切る
箱根駅伝ならどこを走りたいかと尋ねた。「最初は1区を走りたいと思ってたんです。でも3000m障害をやってる人は下りに適性があるって聞いたこともあるし、下りもいいと思います。往路っていうよりは、復路を狙いたいと思ってて。アンカー、いいですよね。最後にバシッと優勝のゴールに入りたいと思いますね」
仙台育英高時代は2年生と3年生で全国高校駅伝で都大路を走った。4区と7区だったが、区間順位が36位と46位。「思い出したくもないんです。相当ひどいです。駅伝にはいい思い出がないんです」。だからこそ、ラストイヤーへの思いは強まる。「駅伝の悪い思い出を塗り替えて終わりたいです」
3000m障害も駅伝も。小室翼は全身全霊で4years.を駆け抜ける。