青学・鈴木塁人 キャプテンとしての覚悟を胸に
4月、本格的にトラックシーズンが始まった。青山学院大学陸上部のキャプテンに就任した鈴木塁人(たかと、4年、流経大柏)は、兵庫リレーカーニバルのアシックスチャレンジ10000mをラストイヤーの初戦に選んだ。
腰痛に襲われても大崩れしない
スタート前の鈴木はともに出場したチームメイトの岩見秀哉(3年、須磨学園)と談笑したり、スタート直前に声をかけて岩見の緊張をほぐそうとするなど、リラックスした様子だった。序盤は集団の前方につき、積極的にレースを進めた。だが4000mを過ぎたあたりから徐々に遅れはじめ、先頭集団から脱落。終わってみれば29分33秒69と、自己ベストの28分31秒66からは1分以上遅いタイムとなった。
「もともと今回は29分半ぐらいでいければと思ってました」と鈴木。練習は着実に積めてはいるが、メンタル的な仕上がりが遅いと感じており、無理をせずにと思っていたようだ。はじめは積極的にいったが、メンタル的な問題が影響してペースダウンしたのかと問われると、「いや、実は途中から腰が痛くなっちゃって……。走りきれるかどうかも不安だったんです」という。それでも最終的に目標タイム近辺でまとめてくるのはさすがだ。鈴木も「それが僕の持ち味でもあるんで」と笑った。
「引退したあとにも生きる経験」
大学陸上界でもっとも注目されるといっても過言ではない、青学のキャプテンとして3カ月が経った。「やっぱりすごい大変だなと思いつつ、この1年がこれからの競技人生だったり、引退したあとの指導者になってからも絶対に必要になってくる経験だと思うので、根気強くやっていきたいと思ってます」。引退後のことまで口にするとは、少し驚いた。そういえば、昨年の箱根駅伝の記者会見のときも「いい走りをして“就活”につなげて、できるだけ長く陸上を続けていきたい」と話していた。鈴木の視線は、いつも少し先にあるのかもしれない。
「まだ強い青学と言えるような結果を示せてないです。去年に劣らない選手層があると思っているので、一人ひとりがタイムを出したり、自信をつけたりしていって、強さを見せていきたいです」。トラックシーズンは始まったばかり。鈴木と、彼の引っ張る新しい青学から目が離せない。