ラグビー

創部120周年の慶大ラグビー、栗原HCのもと日本一へ挑む

今年度ヘッドコーチに就任した栗原徹氏(写真は慶應義塾體育會蹴球部提供)

創部120周年を迎えた慶大に、偉大な男が帰ってきた。今年度就任した栗原徹ヘッドコーチ(HC、41)の経歴は華々しい。慶大が最後に日本一に輝いた1999年度のBKで、卒業後はトップリーグのサントリーで活躍し、日本代表でも27キャップを積み重ねた。2002年の台湾戦では1試合60得点の世界記録(当時)を打ち立てた。引退後すぐにNTTで5年に渡ってコーチを務め、母校に指導者として復帰した。昨年度、慶大は多くのスター選手を擁しながら、大学選手権の準々決勝で敗退。節目の年にスタートを切ったチームに、かつてのスターが新しい風を吹き込んでくれそうだ。

大学日本一を知る男

栗原氏は茨城県の清真学園中学でラグビーを始め、清真学園高3年のときに花園に出場。もともと大学でラグビーを続けるつもりはなく、志望校の中に慶大は含まれてもいなかったという。だが慶大の上田昭夫監督(当時)に声をかけられたことをきっかけに、ラグビーを続けると決断。AO入試で環境情報学部に合格し、蹴球部に入るとたちまち頭角を現し、下級生のころからAチームで試合に出場。3年生のシーズン、慶大に日本一をもたらした。卒業後はサントリー とNTTという対照的な環境でラグビーを続けた。練習施設から終了後のマッサージや食事に至るまで何もかも用意されていたサントリーと、練習後は自分で練習着を持って電車で帰宅していたNTT。さまざまな経験を積む中で身につけたラグビー哲学を、母校に還元していく。

既成概念にとらわれない

日本一練習が厳しいとされる慶大蹴球部だが、今年のゴールデンウィークは練習がなかった。その理由を栗原HCは「選手たちのアウトプットの期間にするため」と語る。普段の練習で吸収したことを、出身高校の練習に顔を出して吐き出すことで、自分の中に落とし込む。近年の教育現場でホットな「アクティブ・ラーニング」を採り入れた。選手たちからは心配の声も多く挙がったというが、連休明けに長距離走のタイム計測をしたところ、自己ベストを出す選手も何人かいたという。練習時間を多くとって選手を拘束するのではなく、自主性を重んじる栗原HCの方針に、選手たちが応えた形となった。

多彩なオプションを持つ集団に

「結束」を武器に日本一を目指す

就任してまず始めたのは、選手たちの考え方を変えてもらうこと。栗原HCはこれから目指すラグビーを、ジャンケンに例えて説明した。「相手が出してきたパーを、グーでぶち破ろうとするのがこれまでの慶大。ジャンケンのルールではグーでパーに勝つことはできないですよね。でもラグビーはグーで押し通して勝てちゃうこともあるんですよ。相手がパーを出してきても、こちらがとんでもなく強いグーを出せば、パーが相手でも倒せる!! といったような」

いま持っているものを貫くのも大切だが、日本一を目指すためには、並み居る強豪を乗り越えていかなければならない。昨秋の対抗戦では、1月の大学選手権で日本一に輝いた明大に勝ったが、帝京大、早大には僅差で敗れた。これまで通りグーを磨き上げるだけでは、勝ちきることは難しいのだ。相手がパーを出してきたら自分はチョキに変える、といったように、相手によって戦い方を変えられる、そんなオプションをたくさん持つチームにしたいという。

日本一になれるチームはどんなチームか尋ねると「シーズンを通して成長していくチーム」と返してくれた。5月に入り、関東大学春季大会の戦いが始まった。
栗原HCの学生時代以来なしとげられていない日本一へ、新生慶大が動き出した。

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