日体大・湯淺佳那子 関東インカレ3冠、散々なシーズンが一気に好転
湯淺佳那子(日本体育大4年、広島皆実)は、最後の関東インカレの目標に4冠を掲げていた。
100m、400mリレー、200mと優勝したが、最後の1600mリレーは0秒74差で早稲田大に負けた。それでも3冠という華々しい結果を残した。
優勝、優勝、優勝、最後のマイルは2位
大会2日目の24日にあった100m決勝で、湯淺はタイムよりも勝負にこだわった。スタートが決まり、頭一つ抜けると、追い風を受けてグングン加速。参考記録ではあったが、11秒43の好タイムをたたき出した。その3時間25分後には400mリレー決勝で3走を担い、45秒09で優勝。2冠目を手にした。翌25日は200mの予選と1600mリレーの予選のみ。ともにトップ通過を決め、最後の関東インカレ最終日に備えた。
最終日は200m準決勝から始まった。23秒87(+3.7m)のトップタイムで通過。決勝でも強い追い風を受けた。100mで11秒4台が出たのならと、23秒台前半、あわよくば22秒台を狙っていた。しかし前半、動きが硬くなってしまった。「もっといこう」ともがきながらゴールした。追い風3.6mで23秒65と狙ったタイムよりは遅れたが、3冠目を手にした。最後の1600mリレー決勝は大会の最終種目ということもあり、スタジアムは大歓声に包まれた。アンカーの湯淺はトップの早稲田に迫ったが、逃げ切られて2位だった。
練習から強い仲間とバチバチ
湯淺は昨年9月の全日本インカレで肉離れを起こした。すぐに治し、練習を再開したが、今年1月に実施されたリレーナショナルチーム選考会で日本代表に入れなかった。トラックシーズンが始まり、照準を合わせてきた4月の出雲陸上。100mで大学初のフライングをして退場。この悪い流れを断ち切る勝利を、関東インカレでつかみたかった。湯淺にとって最初の決勝となった100mで優勝した瞬間、「やったー!! 今日は笑顔で帰れる」と思ったそうだ。その前日は母の誕生日だった。湯淺は「これで金メダルを届けられます」と言って笑った。
100mは湯淺が優勝、2位に山田美来(2年、盛岡誠桜)、4位に福田真衣(3年、東京)と、日体大勢が輝いた。湯淺は「日体の強さを見せられたと思います」と、誇らしげに言った。普段の練習からバチバチ競い合うそうで、「いい環境だなって思います」と湯淺。練習で後輩たちが力をつけてきたのを実感すると、余計に負けられない気持ちが増す。湯淺は練習から絶対に妥協しない。
次の試合は6月末の日本選手権、そして7月にはイタリア・ナポリでユニバーシアードに出る。湯淺は「ユニバーシアードでは個人種目に出られるかどうかはまだ分からないですけど、400mリレーは前回が3位だったので、今年は優勝を狙って頑張りたいです」と意気込む。そのあとには全日本インカレ、国体と続く。湯淺はラストイヤーを全力で駆け抜ける。