陸上・駅伝

特集:第98回関東学生陸上競技対校選手権

「今年の國學院は違う」関東インカレで浦野雄平が示したチーム力

10000mでは最初からは勝負に出ず、日本勢トップの4位をつかんだ(撮影・北川直樹)

第98回関東学生陸上競技対校選手権

5月23~26日@相模原ギオンスタジアム
浦野雄平(國學院大4年)
男子2部10000m 4位(日本勢トップ) 28分56秒53
男子2部5000m 6位(日本勢トップ) 14分6秒98

今年の関東インカレでは國學院大の強さが際立った。男子2部ハーフマラソンでキャプテン2年目の土方英和(ひじかた、4年、埼玉栄)が初優勝。浦野雄平(4年、富山商)が同5000mと10000mで日本勢トップ。「國學院が3種目で日本人トップになるのは初だと思うのでうれしいですし、今年の國學院は違うんだってアピールできたんじゃないかな」と浦野。浦野は5000mで日本勢でただひとり外国人留学生たちに挑む、積極的なレースに出た。

※1部、2部はトラック競技とフィールド競技の総合得点で決まるため、長距離の強豪大学でも、ほかの部門を強化していないところなどは2部にいる。今年の箱根駅伝出場校では國學院のほか、上武大、青山学院大、神奈川大、駒澤大、拓殖大、中央学院大、帝京大、東京国際大が、今回の関東インカレを2部で戦った。

10000mは無理せず日本勢トップ

浦野は大会初日の23日、まず男子2部10000mに出た。レース前、普段はあれこれ言わない前田康弘監督から「日本人集団の中でレースをしよう。無理して留学生にチャレンジしないでいい」との言葉をかけられていた。序盤、レダマ・キサイサ(桜美林大4年、ケニア)やワンブア・タイタス(武蔵野学院大3年、ケニア)らが引っ張る先頭集団に鈴木塁人(たかと、青山学院大4年、流経大柏)だけがついた。浦野は第2集団の先頭を走り、自分のペースで走りを刻んだ。鈴木が次第に遅れ、3000m付近で第2集団まで後退。浦野はギアを上げ、集団を抜け出した。単独走になっても粘り、28分56秒53で日本勢トップの4位に入った。

レース中盤には、3番手を走るムソニ・ムイル(創価大4年、ケニア)をとらえられる位置にいた。浦野は「普段の自分だったらいったと思う」と明かす。しかし、外国人留学生に勝ちにいくと決めていた5000mのレースに備えて無理をせず、当初の目標である日本勢トップを死守する走りを貫いた。

10000mを終えた直後の浦野(右)と駒澤大の中村大聖。「学生ハーフでも日体記録会でも負けたので、中村には勝ちたかった」と浦野。プライベートでも仲がいい

中2日で男子2部5000mのスタートラインに立った。浦野が5000mに照準を合わせていたのは、過去2大会で悔いの残るレースをしてしまったからだ。留学生たちに挑んだ浦野は揺さぶりにやられ、ラストで負けた。とくに前回は小山直城(東京農業大~Honda)にもかわされ、3位で終わった。だからラストを強調した練習に取り組み、強い気持ちでレースに臨んだ。

留学生たちの先頭集団に、最初から日本勢でただ一人食らいついた。揺さぶられたときにどう力を使わずに対応できるかを考えながら走り、一度離されかけたが、粘った。しかし中盤にさしかかったところで徐々に後退。田澤廉(駒澤大1年、青森山田)に迫られたが、意地で日本勢トップを守り、14分6秒98で6位に入った。

自分で練習を考えるようになった

浦野は今年の箱根駅伝で5区を任された。1時間10分54秒の区間新で区間賞をつかみ、チームを過去最高の往路3位に引き上げた。山を駆け上がったダメージで小さなけがをいくつも抱え、新しいシーズンへ向けてモヤモヤした感じが残ったまま、3月の学生ハーフマラソンを迎えた。結果は5位。自分の力のなさを感じさせられたという。

そこから取り組みを変えた。練習に関しては前田監督に任せていたところを、一つひとつ狙いを話し合い、自分の意見を伝えては改善を重ねた。「ようやく4月ぐらいからいい練習が積めるようになって、いまに至るという感じです。自分の意見もとり入れてもらえてるので、そのあたりが調子が上がってる要因の一つなのかなと思います」。監督との信頼関係の高まりと、納得がいった上での日々の練習が、浦野の躍進を支える。

5000mでは初めから外国人留学生たちに挑んだ(右端が浦野、撮影・藤井みさ)

10000mは28分20秒、5000mは13分40秒を目標にしている。「まだまだこれから自己ベストは更新できる」と言いきる。チームは学生三大駅伝すべてのシード権を獲得していて、浦野はすべての駅伝で区間賞を狙い、チームの最大目標である「箱根駅伝総合3位以内」に貢献するつもりだ。

高め合う雰囲気が充満した練習

浦野自身、いまのチームにはかつてないほど高め合う雰囲気があると感じている。練習でも下級生が上級生にどんどん挑んでくる。「手加減することなく、やるべき練習をやるだけです」と浦野。ガンガン競り合うために事前のペース設定を上回るペースになってしまい、前田監督が練習中にストップをかけることもあるそうだ。

箱根駅伝総合3位以内の最大目標へ向かって駆ける(撮影・佐伯航平)

そんなチームの雰囲気を盛り立てているのがキャプテンの土方だ。浦野が言う。「土方を中心にチームは成り立ってるし、もちろん厳しい言葉も投げかけてます。まあ、オンとオフをしっかりできるので、いい雰囲気で練習できてると思います」。浦野自身、走りでチームを引っ張るのはもちろん、土方の負担が大きくならないように支えることを心がけている。

関東インカレを終え、浦野はこう言った。「今回初めて日本人トップをとれてうれしくはあるんですけど、これを当たり前にしていかないといけないなって思ってます」

決して現状に満足しない男が、國學院大の浮上を支えている。

in Additionあわせて読みたい