ラグビー

【いざオールスター】対抗戦選抜の早大・中野将伍「楽しみつつ、自分の強み出す」

中野は高校時代から注目を浴びてきた(写真はすべて撮影・斉藤健仁)

ラグビーの第7回関東大学オールスターゲームが6月30日、東京・秩父宮ラグビー場で開かれる。メインゲームは関東大学対抗戦Aグループと関東大学リーグ戦1部所属のチームから、関東大学春季大会で活躍した選手を選んでつくった選抜チーム同士の対戦(15人制)だ。注目の一戦を前に4years.では両チームの“中野選手”を紹介する。

早稲田BKの中心が示した新境地

対抗戦選抜からは早稲田大学のCTB(センター)中野将伍(4年、東筑)をとりあげたい。昨年もメンバーに選ばれていたが、ケガのため直前に辞退しており、今年が初参戦となった。

身長186cm、体重100kgの恵まれた体格。中野は福岡・東筑高校時代からラグビー関係者やファンの耳目を集めてきた逸材である。今年の3月には日本代表に準じるチーム「ジュニア・ジャパン」のフィジー遠征にも参加。このチームの一員としての遠征は3度目だった。昨年、対抗戦で8年ぶりに優勝を飾ったアカクロのBKの中心選手だ。

早稲田は今春、6月に大分であった招待試合で明治に14-29で敗れて、昨年度の大学選手権準決勝のリベンジはならなかった。春季大会Aグループでは帝京大と東海大には敗れたが、流通経済大、慶應義塾大、大東文化大にはきっちり勝ち、3勝2敗で3位とまずまずの成績を収めた。中野は明治戦と春季大会は帝京戦以外の4試合に出場し、進化した姿を見せた。

中野といえば、その体格を生かした「ハードキャリー」、突破力が持ち味である。だが「春はゲームコントロールとかいろいろ考えながらやっていました」と振り返ったように、外にスペースがあればロングパスを通し、持ち前の突破力を生かしつつ、タックルされながら出すオフロードパスを見せたかと思えば、グラバーキックで味方を走らせた。自らトライを取るよりも、チャンスを演出する立場に回った。

相手とスペースをよく見てチャンスを演出する

実は中野は昨年の春シーズン、今年度のキャプテンであるSH齋藤直人(4年、桐蔭学園)とともにトップリーグの強豪サントリーサンゴリアスに“国内留学”していた。そこで「自分が突破しにいくだけでなく、しっかりスペースを見て判断し、ボールを動かしてアタックする」スタイルを学んだという。昨年度も試合で挑戦していたが、今春も引き続き試したというわけだ。

昨年度よりもプレーの幅が広がり、精度も上がったように見えた。ただ、本人は反省点ばかりを口にする。「スペースを突くという意識はできてきたんですけど、パスばっかりになると、あまり突破できなくなる。自分がハードキャリーして前に出てリズムを作れば、もとディフェンスも寄ってくる。秋に向けて両方をバランスよく使い分けつつ、プレーの質を上げていきたいです」

中野のもともとの持ち味であるハードキャリー

高2で「ジュニア・ジャパン」に選出

福岡県北九州市若松区出身の中野は、3歳のころ、8学年上の兄裕太(現・釜石シーウェイブス)の影響で、兄と同じ鞘ヶ谷ラグビースクールで楕円球と出会った。その後も東筑高、早稲田大と、兄の後を追ってきた。

ただ、早稲田に進んだのは兄が活躍していたからというより、ラグビーを始めたころに早稲田が強く、あこがれていたというのが大きかった。中学時代は強豪の東福岡高校からも誘われたが、自宅から少し遠く、東筑高校の畑井雅明監督が早稲田出身だったこともあり、悩んだ末に東筑に進学した。

中野を擁した東筑は春の全国選抜大会には出場したが、花園には出られなかった。高校3年生の花園予選は準々決勝で東福岡に0-99で大敗した。中野がラグビーファンを驚かせたのは高校2年生の3月。高校日本代表を飛び越え、大学生中心のU20世代に混じって「ジュニア・ジャパン」に選出されたのだ。

そして、オリンピックなどの国際大会を狙える競技力を有した選手を対象とした「トップ・アスリート入試」で早稲田のスポーツ科学部に合格。大学1年生から臙脂(えんじ)のジャージーで活躍しているというわけだ。

日本代表につながる好機、棒に振った痛恨のけが

本人が「悔しかった」と振り返るのが、大学2年生の春の出来事だ。1年生の3月に参加した「ジュニア・ジャパン」の遠征で活躍し、日本代表のジェイミー・ジョセフHC(ヘッドコーチ)が指導する、代表候補選手たちが集まった「NDS(ナショナルディベロップメントスコッド)キャンプ」に招集されたのだ。

だが合宿直前に出場した7人制ラグビーの大会でけが。キャンプに行っても、ミーティングに出るだけで練習に入れなかった。その合宿からは現在6人が日本代表メンバー入りを果たしているだけに、中野は「チャンスがあったのに、ラグビーでアピールできなかった」と、悔しそうな表情を見せた。

高校時代から15人制ラグビーだけでなく7人制ラグビーでも数々の国際舞台を踏んできた中野だが、オールスター戦には初めての参加となる。「ほかの大学の4年生とは、なんだかんだで同じチームでプレーしたことも多いですけど、普段とは違うメンバーでやるのはオールスターのときしかありません。お祭り的な雰囲気を楽しみつつ、自分の強みを出せればいいですね」と、30日を心待ちにしている。

昨年は対抗戦選抜がリーグ戦選抜に66-24大勝しているが、中野は「自分が納得したプレーがしたいですし、やるからには今年もしっかり勝ちたい」と力強く語った。

北九州のソウルフード「資さんうどん」が大好物という中野

ラストイヤーこそ「荒ぶる」を

中野は、オフに東筑高校時代の仲間と食事に行ってリラックスしているという。そして地元に戻ったときには必ず「大好物です!」と力説する北九州のソウルフード「資さんうどん」で英気を養う。卒業後はトップリーグの強豪でプレーする予定だ。もちろん将来的には「日本代表のCTBとして活躍できるように、12番でも13番でもプレーできるようになりたい」と意気込んでいる。

早稲田でのラストイヤーが始まった。「チームもそうですが、個人としてもプレーの波がないようにしたいです。4年生として下級生に声をかけて引っ張っていきたい。そして3年生まで『荒ぶる(※大学選手権で優勝した後にだけ歌うことが許されている第2部歌)』を取れてないので、今年度こそ取りたいです」と、まっすぐ前を向いた。

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