令和初のラグビー早慶戦は早大勝利、タレントぞろいのBKが躍動
令和になってから初めての伝統の一戦。長野Uスタジアムには、2000人のファンが集った。
30度超えの長野で早稲田が主導権
気温は30度を超えた。両校が校歌を歌った後、キックオフ。まずゲームの主導権を握ったのは、臙脂のジャージーだった。
前半6分、早稲田が自陣からFWとBKが一体となってボールを動かし、No.8丸尾崇真(3年、早稲田実業)が抜け出す。まるでBKの選手のように60mを駆け抜けてトライ。SO岸岡智樹(4年、東海大仰星)のゴールも決まり7-0とした。
さらに9分、早稲田はCTB中野将伍(4年、東筑)がオフロードパスでチャンスメイク。FB河瀬諒介(2年、東海大仰星)が抜け出し、最後はフォローしたSH河村謙尚(2年、常翔学園)が左中間に飛び込んで14-0。13分にはCTB中野のグラバーキックをSO岸岡が押さえて19-0と大きくリードした。
その後は慶應のディフェンスも落ち着き、スクラムで相手にプレッシャーをかけ、「タイガー軍団」のペースになった。ゴール前で何度かチャンスを得たが、この試合では優勢だったスクラムを起点にトライを挙げられず、慶應は無得点で試合を折り返した。
後半も先手を取ったのは早稲田だった。2分、岸岡がランでチャンスメイクし、最後も自らフォローしてボールを押さえ、この日2本目のトライ。26-0とした。
慶應のCTB三木がチーム初トライ
慶應はスクラム、モールでリズムをつかむと、ようやく反撃。7分、SH上村龍舞(4年、國學院栃木)のパスにCTB三木亮弥(3年、京都成章)が角度を変えて走り込んで抜け、インゴールを陥れる。26-7とした。
しかし、再び早稲田のBKが躍動する。11分にはCTB長田智希(2年、東海大仰星)が抜け出し、最後は自らフォローしてトライ。23分にはSO岸岡が抜け出し、FB河瀬にパス。河瀬が右隅にトライし、36-7とリードを広げた。
慶應は29分、ゲームキャプテンを務めたFL川合秀和(4年、國學院久我山)が近場を突いてでトライを返したが、それまで。早稲田が36-12で勝利した。
早稲田はキャプテンのSH齋藤直人(4年、桐蔭学園)こそコンディション不良で出場しなかったが、BK陣にはユース年代の代表歴がある選手が多く、スキルの高いランナーたちが存分に力を発揮した。とくにCTB中野が常にFWの選手の後ろに立ち、オフロードパスやロングパス、グラバーキックでチャンスメイク。この日はいくつも決定的な仕事をした。
慶應も前半で1本、2本とトライを取っていればもっと接戦に持ち込めた。スクラムは終始、早稲田にプレッシャーをかけられたし、ルーキーのFL今野勇久、WTB佐々木隼(ともに桐蔭学園)、SO中楠一期(國學院久我山)が、途中出場ながら早慶戦デビューを飾ったのは頼もしい限りだ。
令和初の早慶戦は早稲田に軍配が上がった。果たして、今秋の対抗戦の早慶戦も早稲田が勝つのか、それとも慶應が春から夏にかけて力をつけ、リベンジを果たすのか。両校の成長を楽しみに、秋を待ちたい。
スクラムをステップアップしていく
早稲田大・相良南海夫監督の話
「今日はディフェンスにフォーカスしてやってました。近場で二つトライを取られましたが、選手たちがテーマに沿って80分やろうとする意識が見られたので、そこはよかった。スクラムはそもそもシーズン当初から課題ですが、部内で練習するより、ゲームライクでいろんな経験をして、反省して、積み重ねていきたい。よくないことは確かなので、ステップアップしていきたい」
秋には早稲田にリベンジを
慶應義塾大・栗原徹ヘッドコーチの話
「接点で踏み込もう、と帝京大戦で出た課題を修正してきて、かなり接点は踏み込んで押し込めたと思ってます。課題はアタックを整備しないといけないのと、ディフェンスの外側ですね。(今週)木曜日は長いセッションをやって、いいスクラムを組んでくれた。いろいろ学ぶことがあったので、これをしっかり生かして、チームひとつになって修正して、秋にはリベンジできたらなと思います」