ラグビー

明大が東日本学生セブンズV 輝いたフランカー川上海

ボールを持って駆け上がる川上(撮影・斉藤健仁)

20回目を迎えた東日本学生セブンズ大会が4月14日、東京・秩父宮で開かれた。関東大学対抗戦、関東大学リーグ戦の計16チームがノックアウト方式で優勝を争い、昨年度、22年ぶりに大学選手権を制した明治大がチャンピオンシップ決勝で東海大を25-5で下し、史上3校目となる3連覇を達成した。

試合後の記者会見で、明治の田中澄憲監督(43)は「一人ひとりの勝ちに対する姿勢が、とくに(12-10で逆転勝利した)準決勝の帝京大戦で見られたのがうれしかった。春先ですが、今シーズンのスローガン『真価-ディテール、ハングリー、アクション-』の『ハングリー』の部分が見えました。幸先のいいスタートが切れたと思います」と、誇らしげに言った。

昨シーズンは3軍、得意のセブンズで躍動

大会2日前にセットプレーを合わせて、セブンズの本格的な練習は前日だけ。明治は2月から取り組んできた基本練習の成果で、ほかの大学を圧倒した。

とくに今大会のキャプテンWTB山村知也(報徳学園)、山﨑洋之(筑紫)といった4年生のリーダー陣や、1年生の男子7人制日本代表のSH/WTB石田吉平(常翔学園)の活躍が目立ったが、田中監督が「今大会でよかった選手」として名指しで称えた選手の一人が、FL川上海(3年、北条)である。

東日本学生セブンズで優勝し、喜ぶ明治大の選手たち(後列右端が川上、撮影・斉藤健仁)

川上は、実は1年生までバックスリーの選手だった。1年前にFLにコンバート。そのため昨年度は、チーム内で「ルビコン」と呼ばれる3軍の選手だった。それが今回、コーチ陣にセブンズのメンバーに抜擢(ばってき)され、1年生のときのオール早慶明以来となる2度目の秩父宮ラグビー場の芝の上で躍動した。

川上は「セブンズのメンバーに選んでもらってうれしかったです。セブンズなら、自分の強いところが出せる」と意気込んで大会当日を迎えた。

川上はトライをとりきるようなプレイヤーではない。FWとして味方をフォローしたり、食らいつくようにタックルしたりといった地味なプレーを徹底した。とくに準決勝の最後のワンプレーで逆転したアタックについて「しっかりフォローで走れたのがよかった」と、満面の笑みで言った。

決勝では東海大に25-5で快勝し、「大学選手権の優勝はうれしかったんですけど、(3軍にいたため)チームに関われなかった悔しさもありました。優勝したときに選手として秩父宮に立っていたかったので、今回の優勝はうれしかったです」と声を弾ませた。

東日本学生セブンズで優勝し、表情を緩ませる川上(撮影・斉藤健仁)

BKからFL転向「強みが出しやすくなった」

オーストラリア人の父、日本人の母を持つ川上は愛媛県で生まれ育った。「生まれてからずっと日本です。英語は日常会話くらいなら」と言う。父の影響でオーストラリア代表にあこがれ、小学校からラグビーを始めた。

高校までは突破力を売りとするBKの選手で、高校1、2年のときは花園に出場したが、1回戦で敗退。7人制の全国大会であるアシックスカップにも出場したが、予選プールで敗退。決して全国区の選手ではなかった。

それでも高校の3つ上に、すでに明治大で活躍していたWTB渡部寛太(現・Honda)がいた影響もあり、「明治で紫紺のジャージーを着て日本一になりたい」と、セレクションを受けて、どうにか進学することができたという。

ただ、明治は同年代の高校日本代表など有望な選手がたくさんいて、層が厚かった。2年生から時からFWになったが、最初は分からないことばかりで、同校OBの滝澤佳之FWコーチに怒られてばかりだった。

川上は「大変でしたけど、FLという新しいポジションにチャレンジできるのはうれしかったです。昔から突破力に自信があってバックスっぽくない選手だったので、FLになって自分の強みが出しやすくなったと思います。キヨさん(田中監督)と滝澤さんに感謝しています」。前向きにポジション変更に向き合った。

大学選手権2連覇の原動力に

体重75kgで大学に入ったが、トレーニングの成果で1年後に86kgに。いまでは100kg近くまで増え、すっかりFWらしい体つきになってきた。「服のサイズがすっかり変わって大変です」と苦笑い。「体重はもう十分なので、9%から19%になってしまった体脂肪を絞って、いまのフィットネスとスピードに加えて、パワーも一緒に出せるようにしたいです。そしてFWとして、とくにセットプレーで滝澤さんの信頼を得られるようになりたい」と語気を強めた。

密集からボールを出そうとする川上(中央上、撮影・斉藤健仁)

東日本学生セブンズの優勝は「自信になった」と言う川上だが、まだ将来ラグビーを続けるかどうかは「考えられない」と語った。まずは春季大会で出場のチャンスをもらい、15人制でもコーチ陣の信頼を得られるようなプレーをして、来年1月に自分がプレーして明治の大学選手権2連覇に貢献するのが目標である。

「スピードよく接点に入って相手のボールに絡むところを評価されているので、そこをプレーとして出してしきたい」。連覇を狙う明治の中で、「ボールがあるところに川上あり」という存在になれるか。FL2年目、川上の挑戦は続く。

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