青学大女子レスリング・加賀田葵夏、登坂絵莉との再戦でリベンジならず
来年に迫った2020年東京オリンピックの出場権をかけて、レスリングでは国内でし烈な争いが繰り広げられている。6月13日から4日間に渡って争われた明治杯全日本選抜選手権は、オリンピックへの切符をつかむための大切な大会だ。この大会で優勝することが代表への第一歩となる。
圧倒的な力でベスト4進出
青学大からも複数の選手がエントリーした。中でも目を引く存在が、4年生としてチームをけん引する加賀田葵夏(きか、文化学園大杉並)。1年生と3年生のときに全日本学生選手権(インカレ)チャンピオンに輝き、昨年度は天皇杯全日本選手権で準優勝した実力者だ。
大学ラストイヤー最初の公式戦となった今大会。加賀田が出場する女子50kg級は、東京オリンピックの最軽量級であり、日本の「お家芸」とされる階級だ。2016年リオデジャネイロオリンピック女子48kg級金メダリストの登坂絵莉(至学館大〜東新住建)、2017年の世界選手権女子48kg級、翌年の同選手権女子50kg級をそれぞれ制した早稲田大の須崎優衣(2年、安部学院)、今年4月に行われたアジア選手権女子50キロ級王者の入江ゆき(九州共立大〜自衛隊)ら、名手たちがひしめく。
競争の激しい階級で、加賀田も優勝を目指した。初戦の相手は東洋大1年の吉村涼菜(埼玉栄)。序盤でタックルを決めると、そのまま押さえ込み、わずか40秒でフォール勝ち。圧倒的な力を示し、ベスト4に進んだ。
準決勝の相手はリオ五輪48kg級女王の登坂。2017年度の天皇杯で敗れている相手だ。第1ピリオド(P)はお互いに探り合う時間が続いた。消極的な姿勢に対する警告から登坂に1点が入るが、それ以外は得点を与えることなく第2Pへ。開始30秒で試合が動いた。加賀田はテイクダウンを奪われると、さらにローリングで連続失点。0-7と一気にポイントを離された。
加賀田も黙ってはいない。バックを取って2-7と差を詰める。グラウンドで追加点がほしかったが、相手の堅い守りに得点できない。後がない加賀田が積極的に攻めるが、仕掛けたところを逆に崩され失点。グラウンドでの攻防が勝敗を分け、最終スコア2-9で大差の判定負けとなった。
「ワンチャンスをものにするのが強い人」と唇をかんだ加賀田。3位決定戦へ回った。相手は初対戦となる至学館大の吉元玲美那(1年、埼玉栄)。開始1分、がぶりから相手の体勢を崩して得点すると、このまま加賀田がリードして試合を折り返す。第2P、1分を過ぎたところで左足を取られ失点。スコアは2-2だが、ラストポイントで相手が優位に立つ。
ラスト1分、加賀田は積極的に攻めた。タックルを仕掛けるが切られ、なかなか得点が入らない。しかし加賀田に焦りはなかった。追う展開の中でも「正直、今日は(ポイントを)取れるなと思ってました」と加賀田。その言葉通り、残り時間30秒で相手の右足を取り、テイクダウンで2点を追加。4-2と勝ち越しに成功する。相手の猛攻をしのぎ切って勝利。昨年度の天皇杯に続き、全日本の表彰台に立った。
インカレで3度目のVを狙い、天皇杯へ
3位入賞を果たした加賀田。しかし表情は晴れなかった。加賀田は「(準決勝で対戦した)登坂選手は強い相手だけど(ポイントを)取れるところもあったので、もう少しできたかなという悔しさがあります」と振り返った。
登坂との再戦があるとすれば12月の天皇杯だろう。ここからの6カ月で着実にレベルアップをはかり、激戦必至の階級でも頂点を目指す。
次戦は8月のインカレだ。連覇がかかると同時に、これが最後の学生の大会となる。
「いい大学生活だったと言えるように、インカレは優勝して締めくくりたいと思います」と加賀田。今大会の悔しさをバネに、謙虚に、そして貪欲に3度目のインカレ女王の座を狙う。