陸上

名大の「理系ハードラー」コンビ、一緒に跳び続けて11年目の日本選手権決勝

日本選手権決勝の隣のレーンで走った名大大学院の小田(右)と名大の真野(左)(撮影・松永早弥香)

第103回日本選手権第3日

6月29日@福岡・博多の森陸上競技場
男子400mハードル決勝
1位 安部孝駿(ヤマダ電機)48秒80 
2位 豊田将樹(法政大)49秒05
3位 松下祐樹(ミズノ)49秒47
4位 野澤啓佑(ミズノ)49秒51
5位 小田将矢(名古屋大)49秒60
6位 真野悠太郎(名古屋大)50秒07
7位 須貝充(新潟アルビレックスRC)50秒27
8位 都康炳(同志社大)51秒37

日本選手権の男子400mハードル決勝に、中学からずっと同じ陸上部で切磋琢磨(せっさたくま)してきた名古屋大生と名古屋大の大学院生が名を連ねた。1学年違いで中学のグラウンドで知り合って11年目、日本一を争う舞台で隣り合うレーンを走った。

医学部の真野悠太郎と大学院工学研究科の小田将矢

最も内側の2レーンに医学部5年生の真野悠太郎(22)、3レーンに大学院工学研究科修士課程2年の小田将矢(24)がいた。3度目の挑戦で初めて決勝に進んだ小田は自己ベストの49秒60で5位、2年連続の決勝だった真野は50秒07で自己最高の6位に入った。

同じ国立大の陸上部から2選手がトラック競技の決勝に残ったのは、今大会では男女を通じてこの種目だけ。体育専門学群がある筑波大を除けば異例と言っていい。小田は「決勝に二人が残るのは名大として初めてだと思います。しっかり走れて、一つ階段を上がれました」。充実した表情で振り返った。一方の真野は「去年の2倍くらいのレースを積んで、本番の感覚を養うことを大事にしてやってきたんですけど、発揮できませんでした。後半は必死に食らいついたんですけど……。またリベンジします」。悔しさがにじんだ。

決勝のスタート前、真野は表情に緊張感を漂わせていた(撮影・藤井みさ)

二人はともに愛知県江南市にある私立の滝中学校、滝高校と進み、現役で名大に入った。中学からいまに至るまでずっと、陸上部の先輩、後輩だ。

真野は、高3の夏にインターハイの男子400mハードルで3位に入り、今年6月の日本学生個人選手権でも優勝した。小田も東海インカレで3連覇し、全日本インカレの常連だ。

1学年先輩の小田は「中学では僕の学年の短距離部員が男1人で(真野の学年に)混ざって過ごしてたんです。気を遣わなくていいし、すごく楽。先輩後輩というよりは、同級生に近くて、弟みたいですね」。真野も楽しげにこう言った。「中高大と一緒で、もう11年目。(日本選手権の)決勝は隣同士のレーンで意識しすぎちゃったかな。今回は負けましたね」

スタート直前、一点を見つめる小田(手前)と真野(奥)(撮影・藤井みさ)

ともに目指すは東京オリンピック

文武両道でやってきた。真野は循環器内科の医師をめざし、現場での実習を重ねている。実習は朝8時から夜7時ごろまでかかる日もある。小田は「バイオマスのガス化」を研究テーマとして環境問題に取り組む。実験が徹夜になることもあるという。お互いに時間を見つけて練習に励む。「去年は二人で横に並んでハードルを跳んでたんですけど、いまは練習時間がなかなか合わないですね」と真野は言う。

二人の思いは、ともに来年の東京オリンピックに向かっている。真野は「できるところまで、東京オリンピックを目指してやりたいです。そのあとも競技を続けたいとは思ってるんですけど、両立はなかなか難しい部分があります。いまは困ってるところです」。小田は、来春の修了後は技術系のエンジニアとして地元の企業に勤める見通しだ。「将来、研究者になるわけでもないので、前に進む決断をしました。バリバリ働きながら、オリンピックを目指すつもりです」

「理系ハードラー」たちの挑戦は続く。

ラスト100mに入って奮闘する真野(右端)と小田(右から2番目)(撮影・藤井みさ)

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