陸上

特集:第51回全日本大学駅伝

陸上と研究の「最適解」を求めて 九州大学大学院・古川大晃

古川は全体トップのタイムでゴールし、日本学連選抜のメンバーに選ばれた(写真はすべて撮影・藤井みさ)

秩父宮賜杯第51回全日本大学駅伝対校選手権 九州地区選考会

6月16日@阿蘇市農村公園あぴか 陸上競技場
古川大晃 30分58秒31(10000mタイムレース1位)

6月16日の全日本大学駅伝九州地区選考会は、10000mのタイムレースで争われた。全体の1位のタイムで走ったのは、九州大学大学院に通う古川大晃(ひろあき、修士課程1年、八代高~熊本大)だった。これにより、古川はオープン参加の日本学連選抜のメンバーに選ばれた。

想定通りのレース展開でトップに

この日は4組にわかれてのタイムレースで、古川は最終4組目で走った。スタートから第一工大のモロッコ人留学生、アニーダ・サレー(1年)が飛び出し、古川はそこにぴったりとついた。最初の1000mのラップタイムは2分58秒と、それまでの3組と比べて20秒近く速いペースになった。先頭集団ははじめ6人だったが、2000mを過ぎたあたりからはサレーと古川の二人旅に。古川はサレーのあとにぴったりとつき、ラップを刻んでいく。ラスト2周の給水で二人の足が交錯してサレーが転倒するアクシデントがあり、古川が前に。ラスト1周はスピードを上げ、サレーに11秒差をつけてトップでゴールした。

ラスト1周からスパートし、顔をゆがめてゴール

レース後の古川は「想定したレース展開どおりでした。アニーダくんのおかげでいい走りができたと思います。途中アクシデントがあって、申し訳なかったです」と、サレーを気遣った。

九大の大学院で「追尾走」を研究

昨年まで熊本大学陸上部で走っていた古川は、この4月から九州大学の大学院に進学し、人間環境学府行動システム専攻健康・スポーツ科学コースで、「追尾走」の研究をしている。追尾走とは、前の人について走る、という意味。まさにこの日、古川が実践していた走りだ。「追尾走は楽に感じるんです。空気抵抗が減る以外にも要因があると思っていて、そこが何なのかというのを数値だけでなく、心理面などからも研究しています」

古川はサレーの後ろにぴったりとついた。「絶対に離れないぞ」と思っていたという

陸上が好きだからこのテーマを選んだというが、いまのところは陸上と勉強、どちらか一本に絞るつもりはない。両方をやりたいと考えた「最適解」が、九州大学大学院への進学だった。「陸上に専念したいと思ったら実業団に行くんだろうな、というのは少しは考えたりします。研究者の道も、自分の能力が追いつけば、なりたいなという気持ちもあります。でも、いまはどちらもやりたくて……」と、はにかみながら教えてくれた。勉強と陸上の両立が、いまの彼にとって自然なことのようだ。

個人の力も、チームの力も高める

古川は一昨年は全日本大学選抜、昨年は日本学連選抜チームに選ばれ、伊勢路を走っている。「おととしは区間12位、去年は区間15位でした。とくに去年はうまく力が発揮できなくて、悔しい思いをしました。今年はこの夏にしっかり力をつけて、区間一桁の順位を狙いたいです。それでしっかりテレビに映れたらいいなと思います(笑)」。長い距離のほうが得意だといい、23歳にしてフルマラソン完走経験はすでに8度、自己ベストは2時間19分15秒だ。2018年の熊本城マラソンや今年3月の板橋シティマラソンでの優勝経験もある。

全国で古川はどんな走りを見せてくれるのか、楽しみだ

個人としての強さが目立つ古川だが、チームへの思いも非常に強い。「九大の陸上部に入って、すごく気の合うメンバーに囲まれて、このチームでもっと戦いたいなという気持ちで走ってます。このあとは七大戦(編集部注:北大、東北大、東大、名大、阪大、京大、九大の国立大対校で争われる大会)、12月には島原駅伝(九州学生対校駅伝)もあるので、そこまでにチームの力をもっと高めていきたいと思います」

チームの力を高めるために、古川の全国での経験は必ず役に立つだろう。文武両道の大学院生ランナーは、今年11月の伊勢路でどんな走りを見せてくれるだろうか。

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