大学陸上・駅伝

特集:第51回全日本大学駅伝

「全員駅伝」で関東・関西勢に食らいつく 第一工業大、全国への挑戦

石場(左)はキャプテンとして、積極的な走りでレースを引っ張った

秩父宮賜杯第51回全日本大学駅伝対校選手権 九州地区選考会

6月16日@阿蘇市農村公園あぴか 陸上競技場
1位 第一工業大 4時間19分44秒
2位 福岡大   4時間20分30秒
3位 日本文理大 4時間20分34秒

11月3日の全日本大学駅伝の出場権をかけた地区選考会がはじまった。全国に先駆けて開催されたのは九州地区選考会。阿蘇の雄大な山々に囲まれた競技場で、第一工業大学(鹿児島)が3年連続24回目の本大会出場を決めた。キャプテンの石場健太(4年、鎮西学院)に話を聞いた。

「全員駅伝」でつかんだ全国

九州地区選考会では10000mのレースを各チーム10人が走り、上位8人の合計タイムでトップの1校が本大会へ進む。今回は7校の計70人が4組に分かれて走った。3組目が終わった時点では、全体1位は日本文理大。第一工大を1分ほどリードしていた。「ちょっとだけ不安もあったんですけど、4組目を走るメンバーはみんな持ちタイムがいいので、信頼して待ってました」。石場の言葉通り、終わってみれば第一工大はトップに立っていた。

選手宣誓をする石場

逆転の要因について石場は「チームワークです。そこが持ち味なので。走ったのは10人だけど、チームの36人全員で出した結果だと思います」と語った。チームのテーマは「全員駅伝」。モロッコからの留学生であるアニーダ・サレー(1年)を除けば、部員の実力が均衡しており、石場いわく「誰が走ってもいいチーム」になっている。実際に昨年の全日本大学駅伝を走ったメンバーで、今回の選考会は控えに回った選手もいた。石場自身は、今回初めて選考会を走った。「走るからにはキャプテンとして、チームを引っ張っていく、チームに貢献するような走りがしたいと思ってました。(3組目の)トップでゴールしたかったんですけど、最後負けてしまって、そこはちょっと悔しかったです」

コミュニケーションを大事にして

この日4組目でレースを牽引(けんいん)したアニーダ・サレーは、給水で転倒するアクシデントもあったが、全体2位のタイムでゴールした。モロッコから6月上旬に来日したばかり。ラマダン(断食月)明けで体調が万全でない中でも、チームを押し上げる走りを披露した。いまはフランス語とアラビア語しかしゃべれないため、チームメイトとは翻訳アプリなどを通してコミュニケーションを図っているという。「いつも笑顔で接したりしているので、チームにはなじめてるんじゃないかと思います。まだお互いに意思疎通ができない場面もありますけど、自分たちも少しでもしゃべれるようにしたいです」と石場。

留学生のサレー(左から2人目)は写真大好き。チームメイトとの写真をインスタグラムにアップしているようだ

キャプテンとしてチームをまとめることの苦労を聞いてみると「うちのチームには、メンタルの弱い選手が多いんです。成績が悪かったりすると落ち込んでしまったり……。だから意識して声をかけたり、励ましたりしてます」。石場自身はあまり引きずらないタイプという。

九州で走り続けるプライド

第一工大は昨年の全日本大学駅伝では21位だった。本大会では、出場した大学の成績に応じて、翌年の地区出場枠が決まる。石場は言う。「まずは、九州の枠を二つに増やせるように、チーム一人ひとりが全力で走ること。そこでベストを尽くせば少しでも上の順位にいけると思ってます。それから、関東、関西のチームに少しでも食らいつけるように勝負していきたいです」。箱根駅伝の影響で、どうしても実力者は関東に集まりがちだ。だからこそ九州で走り続ける者として意地を見せたい。そんな思いが伝わってきた。

九州代表として、彼らはどんな走りを見せてくれるだろうか

石場の口からは、何度も「チーム」という言葉が出た。駅伝はチーム競技。大エースがいなくても、着実に一人ひとりがチームのために走ることで上位を狙えるのが、駅伝の面白さでもある。第一工大は、九州代表として存在感を見せられるだろうか。
本番まで4カ月あまり、彼らのさらなる進化に期待したい。

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