法大MF橋本陸、ユニバ代表・紺野和也の代役が天皇杯で躍動
天皇杯JFA第99回全日本サッカー選手権2回戦
7月10日@東京・味の素フィールド西が丘
法政大 2-0 東京ヴェルディ
7月10日のサッカーの天皇杯2回戦で法政大学がJ2の東京ヴェルディと対戦。終始ボールを支配する試合運びで、2-0と快勝した。
シュート数でもボール支配率でも圧倒
午後6時半、7月にしては涼しい風が吹く中で試合は始まった。イタリアで開催中のユニバーシアードと日程が重なり、法大はFW上田綺世(あやせ、3年、鹿島学園、鹿島アントラーズ入団内定)とMF紺野和也(4年、武南、FC東京入団内定)の2枚看板抜きでこの日を迎えた。
法大の選手たちは序盤からボールをすばやく回し、相手ゴールに迫った。ただ4本のシュートはヴェルディGK柴崎貴広のファインセーブにも阻まれ、ゴールを割れない。0-0で折り返した後半はヴェルディに攻め込まれたが、ゴールは許さない。
迎えた12分、法大はDF関口正大(3年、新潟明訓)の右クロスに反応したFW松澤彰(4年、浦和レッズユース)が頭で合わせ、ついに先制点をもぎとった。その後も法政側は攻撃の手をゆるめることなく、後半24分にはFW佐藤大樹(2年、北海道コンサドーレ札幌U-18)の左クロスにMF橋本陸(4年、西武台)が走り込み、豪快に2点目を決めた。最後までヴェルディにゴールを許さず試合終了。法大のシュート数10に対し、ヴェルディは2。完勝ともいえる内容だった。
「Jを倒そう」を合言葉に練習試合も
法大の長山一也監督は試合後、「去年のインカレでチャンピオンになり、この天皇杯の出場権を獲得してくれた先輩の気持ちも背負ってJクラブを倒そう、という目標をシーズン前に立てました。いいゲームではなく勝つゲームをしようと言ってきました。勝つためにJクラブとの練習試合もしてきたので、すごくうれしいです。次のガンバ大阪戦も勝てるように、しっかり準備してやっていきたい」と語った。
上田、紺野の2名を欠いた状態でしたが? という質問に対しては「二人がいると多少頼ってしまうところがある。今日はしっかり全員でいいポジションを取りながら試合をつくれました。二人がいないのは以前から分かっていたので、いない状況でもしっかり勝てるように準備してきました」と語った。ゴールを決めた松澤、橋本はいわば上田、紺野の「代役」。この二人に対し、長山監督は試合前日に「もうお前たちも4年生だし、いまやらないでいつやるんだ」とハッパをかけた。二人からは「大丈夫です、やります」との返事があったという。彼らが活躍したことについては「二人ともプロ志望だけど、まだ進路が決まってないんです。少しはアピールになったんじゃないかな」と口にした。
やってきたことを結果で示せた
2点目を決めた橋本は充実感のにじんだ表情で試合後のインタビューに答えた。「今日は相手がJだからといってリスペクトしすぎずにいこう、と思って試合に臨みました。練習でやってきたことを結果で示せればと思ってやったので、そのとおりにできたと思います」
監督から昨日、声をかけられたそうですね? と聞くと「え、そうでしたっけ」と一瞬戸惑った顔を見せたあと「僕、主務もやってるんで、昨日監督と今日の準備で連絡を取ってて。そのときに『明日よろしくね』と言われたので、それかなって思います」と笑った。気負いすぎることなく試合に入れたようだ。
橋本はプロ志望だが、まだオファーはない。この舞台で活躍できたのはアピールになりましたよね、と問いかけると「今回は、(上田と紺野の)二人がいない中でどれだけ力を発揮できるか、ということを考えながらプレーしました。二人がいなくても勝てたというのは、チームとしてもいいと思います。二人が戻ってきても、全員がレベルアップして彼らともレギュラー争いができるように、どんな試合でも結果を出せるようにしていきたいです」。Jクラブへの入団内定が内定し、日の丸を胸に戦う仲間にも負けない、という強い姿勢を示した。
自身の課題としては「チャンスだと思っても、シュートに持ち込めないことがある」と口にした。天皇杯3回戦のガンバ大阪戦まで1カ月。ユニバ組の二人が戻ったチームでも、橋本は貪欲(どんよく)にピッチに立つチャンスをうかがう。