野球

関大打線の主軸を担う倉川竜之介、ラストシーズンに暴れまわる

関関戦でサヨナラ打を放ち、雄叫びを上げながら駆け抜ける倉川

今年の春リーグ、関大野球部はかつてないほどたくさんの試合を戦った。全5節中4節で3回戦に入り、関学戦に至っては1勝1敗1分けで4回戦にもつれ込んだ。15試合もの接戦を戦い抜いた関大の打線を支えたのが倉川竜之介(4年、桜宮)だった。主に4番と5番を担い、バットを振り続けた強打者は「責任」という言葉を何度も口にしていた。

伝統の関関戦で劇的サヨナラ打

倉川自身が今シーズン最も印象に残っているのは第4節、対関学2回戦だ。特別に阪神甲子園球場で開催される伝統の関関戦は、1回戦が延長13回の末に引き分け。翌日の2回戦もシーソーゲームとなり、2日連続の延長戦に突入。長い戦いに終止符を打ったのは、関大の5番倉川の一打だった。2-2で迎えた延長12回裏、1死二、三塁で左打席へ。初球を振り抜くと、鋭い打球が左中間を割った。「完璧な当たりで、打った瞬間に抜けたと分かった」。劇的なサヨナラ打に、普段は冷静な男も、叫び声を上げながら一塁ベースを駆け抜けた。

ベンチ外から1年後に首位打者

大阪の公立校である桜宮高で3年間を過ごした。名だたる強豪の集まる大阪で頂点は遠く、不完全燃焼のまま高校野球生活を終えた。「大学では全国大会に出たい」。そんな思いを抱き、大学野球の世界に足を踏み入れた。関大に入ると、レベルの高さを痛感する。甲子園に出場し、テレビで見ていたような選手がチームメイト。入学当初は試合に出場する自信などなく、「ベンチに入れるように頑張ろう」と練習試合や新人戦でチャンスを狙った。

オールスター5リーグ対抗戦では大活躍だった

リーグ戦で初めてベンチ入りを果たしたのは2回生の春。念願のスタメンを獲得し、そこからはがむしゃらに突き進んだ。初打席は開幕カードの京大戦。「緊張でフワフワしてました。あの一打がなければ、いまはないかもしれない」。振り遅れたかに見えたが、バットがしっかり白球をとらえて公式戦初ヒットに。この当たりが緊張の緩和剤となり、京大戦の2試合で放った6安打を皮切りに、破竹の勢い乗った。最終節で規定打席に到達すると、打率トップに躍り出た。本人さえ予想外の首位打者獲得は、自信をつけるのに十分すぎる出来事だった。続く秋リーグでは、相手に研究されながらも、全試合スタメンでベストナインに選ばれた。どんな場面でも物おじせずに実力を発揮した。チームは2年連続の秋リーグ優勝で明治神宮大会への出場を決めた。大学野球の聖地にも立ち、順調に経験を積んでいった。

野球を楽しむ気持ちを忘れていた

しかし、3回生になると様子が違ってきた。ベンチメンバーがガラッと変わり、前年から試合に出ていた者としての責任感が芽生え始める。苦手なコースを攻められることも多くなり、思うようなバッティングができなくなってしまった。2回生のときは初球から積極的に打ちにいっていたのが、だんだん配球やタイミングを考えるようになり、気づけば楽しさよりも「打たないと」という義務感ばかりが強くなっていた。

「あと一本出れば……」。今年の関大野球部は得点力不足にあえいでいる。おのずとクリーンアップにその「一本」が求められ、最上級生の倉川は誰よりも大きなプレッシャーを感じてきた。求められるのは、少ないチャンスを得点につなげること。「僕が打たないと勝てないなって思いました」。開幕前に倉川がつぶやいた言葉が、関大の現状と、主軸としての覚悟の重さを物語っていた。いつの間にか、楽しんでやることの大切さを忘れていた。

オールスター戦で原点に戻った

野球の楽しさを再確認したのは、春リーグ後にあった大学野球関西オールスター5リーグ対抗戦でのこと。2試合でスタメン出場した倉川は、豪快なフルスイングでホームランも放つ活躍だった。考えすぎず気楽に臨んだことが、いい結果をもたらした。

本人が印象に残っていると口にした春リーグの対関学2回戦でも、リラックスして打席に立ったことが功を奏していた。チャンスで考えすぎず、フルスイングで楽しむ。何より大切なことだった。

夏が終われば、倉川にとってのラストシーズンが開幕する。もう楽しむしかない。聖地・神宮球場で、笑顔で大学野球の4年間を締めるために。関大の強打者が、秋も暴れ回る。

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